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バーニング 劇場版

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料金

一般¥1,800/ユース(22歳以下)¥1,500/シニア¥1,100/ジュニア(15歳以下)¥800/UPLINK会員¥1,000(土日祝¥1,300/ユース(22歳以下)会員はいつでも¥1,000)

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巨匠イ・チャンドン監督が、世界をも魅了した!

第71回 カンヌ国際映画祭歴代最高評価(スクリーン デイリー3.8点/4点満点)国際批評家連盟賞/バルカン賞 受賞
第91回 アカデミー賞®外国語映画賞<韓国代表>
第38回 韓国映画評論家協会賞 撮影賞/国際批評家連盟 韓国本部賞 受賞
第55回 大鐘賞映画祭 最優秀作品賞 受賞
第27回 釜日映画賞 最優秀監督賞/音楽賞 受賞

カンヌ国際映画祭で絶賛。

村上春樹「納屋を焼く」を映画化した、巨匠イ・チャンドン監督の8年ぶりの新作。
原作とは異なる映画オリジナルの展開は、観るほどに新たな謎を問いかける。
幻想的な映像と衝撃のラスト。映画史に残る大傑作の誕生!

 第71回カンヌ国際映画祭で批評家による得点が過去最高点をマーク。各国の有力ジャーナリスト10人による星取表で4.0満点中、平均点3.8という驚異の評価を叩き出し、国際映画批評家連盟賞を受賞。『万引き家族』のパルムドール受賞を最も脅かした作品とされる、噂の大傑作がついに全貌を現す――。  韓国を代表する巨匠、イ・チャンドン監督の『ポエトリー アグネスの詩』から8年ぶりとなる待望の新作。原作は世界的な人気作家である村上春樹。彼が1983年に発表した短編小説「納屋を焼く」を大胆に脚色。韓国の現代社会で浮遊する若者たちの姿と心理的な駆け引きをミステリータッチで鮮烈に描き出す。 奇しくも村上春樹デビュー40周年の記念イヤーである2019年。本作はまずNHKでの先行放映(日本語吹き替え版、97分〈予定〉の短縮版)を経て、完全版が劇場公開となる。

 三人の不穏な関係性、先の見えないサスペンスフルな物語展開。そして原作にはない、衝撃のラストシーンがもたらすインパクトの大きさ。
姿を見せない猫、無言の電話、水のない井戸、リトルハンガーとグレートハンガー、古いビニールハウス、ギャッツビー、フォークナー、同時存在、突然現れた母……その、ひとつひとつ全てのシーンがすべてが伏線となる。現実と幻像が入り混じったような映像で描かれる本作は、原作とは異なる映画オリジナルの展開ではあるが、村上春樹の過去作品を含めた世界観を見事に踏襲、観るほどに観客に新たな謎を問いかける。

 キャストには注目の若手陣が揃った。主人公ジョンス役には、『ワンドゥギ』や『ベテラン』のユ・アイン。ヒロインのヘミ役には、これが長編映画デビューとなる期待の新人女優チョン・ジョンソ。そして謎めいたベン役には、米国のテレビシリーズ「ウォーキング・デッド」で知られるスティーブン・ユァン。ハリウッドスターである彼が母国・韓国の映画に出演したことも話題。そのカリスマ性で優雅かつミステリアスな存在感を発揮する。

 イ・チャンドン監督は、今回の映画で描いた若者たちを「親の世代よりも経済面で厳しくなる初の世代」と説明する。社会の発展が飽和状態に達し、未来の希望がなかなか見えない――これは韓国だけでなく、日本にも共通する世界的な問題だ。本当の居場所が見つからず、いたたまれない無力さゆえの“怒り”。どこに矛先を向けたらいいのかわからない現代の若者たち。

本作は第91回アカデミー賞外国語映画賞の韓国代表にも選出された。韓国のみならず全世界の映画史にとって、重要な一本として刻まれることは間違いないだろう。

【STORY】
 ある街角。運送会社のアルバイトをしているイ・ジョンス(ユ・アイン)は、デパートの店頭でセールの広告モデルを務める女の子に呼び止められる。  「覚えてない? 私、子どもの頃、同じ町内にいたんだけど」  それはすっかり美しくなった幼なじみのシン・ヘミ(チョン・ジョンソ)だった。思わぬ再会を果たしたふたりは互いのことを語り合う。  ジョンスは兵役を経て大学を卒業した後、小説家を志しながらアルバイト生活を続けていた。一方、ヘミは最近パントマイムを習っているという。そしてアフリカ旅行をするためにお金を貯めているらしい。 「知ってる? アメリカのサン人にはふたつの“飢えた者”がいるんだって。リトルハンガーはおなかがすいた人。グレートハンガーは人生に飢えた人。なぜ生きるのか、人生の意味は何なのか。それを知ろうとする人」――。  

 そしてジョンスは、ヘミがアフリカ旅行で留守の間、自宅に居るという猫の世話を頼まれる。自宅マンションに行くと、ヘミがボイルと呼ぶその猫は、一向に姿が見えない。「お前が留守の間、ここで想像の中の猫にエサを?」と訝しむジョンスにヘミは微笑みを向け、ふたりはそのまま肉体関係を持った。 こうしてジョンスの奇妙な日々が始まる。  現在、畜産業を営む彼の父親は傷害事件を起こして裁判中だ。母親はとうの昔に家を出て、姉は数年前に結婚。ひとり残された彼は実家に戻って牛の世話をしなくてはならない。  実家には、無言電話がしつこく掛かってくる。ジョンスは納屋にいる牛の世話をしたあと、粗末な食事を取りながらテレビを見る。ニュースでは韓国の若者の失業率の高さを伝え、米国のトランプ大統領の弁舌が放送される。  そして時折ヘミのマンションを訪れ、やはり姿を現さない猫の世話をする。  
 
 半月後。ようやくヘミから連絡があり、翌日帰国できるとの話。空港に迎えに行くと、ヘミは見知らぬ青年ベン(スティーブン・ユァン)を連れていた。 彼とヘミはケニアのナイロビ空港で知り合ったのだという。三人はヘミの提案でホルモン鍋の店に向かう。ベンは見るからに優雅で、洗練されていて、どこか不敵な表情を浮かべている謎めいた男だった。  やがて喋るだけ喋って食事の席で寝てしまったヘミを尻目に、ふたりの青年はぎこちなく言葉を交わす。ジョンスが「どんなお仕事を?」と訊くと、ベンは「簡単に言えば、遊んでいます。最近は遊びと仕事の区別がありません」との返答。続けてベンに好きな作家について尋ねられると、ジョンスはフォークナーだと答えた。彼の小説を読むと、まるで自分の話のように思えるのだと。  

 後日。ジョンスは電車に乗ってソウルのトンジャクに向かっていた。到着すると、お洒落な自宅ビルの中でくつろぐベンとヘミの姿。ジョンスは自分とは住む世界が違うベンの桁違いの裕福さを目の当たりにする。そしてベンは自らキッチンに立ち、ジョンスとヘミにパスタ料理をふるまう。  あの若さで、このゴージャスな生活。のんびり旅行に行って高級車に乗る。音楽とパスタ料理。思わずジョンスはベンについて「ギャッツビーだ」と呟く。「どういうわけか金持ちで、謎に包まれた若者たち。韓国にはギャッツビーが多い」。  そしてベンと彼の世界に、ヘミがすっかり惹かれていることに対する嫉妬心も・・・・・。  

 また後日。今度はベンがヘミと一緒に車を走らせ、ジョンスの実家にやってくる。パジュ市のマヌリ。そこはベンが住む都会の一等地とは対照的な、38度線を隔てて北朝鮮のすぐ隣にある貧しい田舎だ。ジョンスとヘミが共に幼少時代を過ごした場所でもある。  三人は玄関先にテーブルを置いてワインをあけ、大麻を吸い、夕暮れの風景を見つめる。やがてヘミは服を脱いで踊り出す。頽廃的で、甘美な時間。  過度にリラックスした雰囲気の中、ふとベンはジョンスに自分の秘められた“趣味”を打ち明ける。それは古いビニールハウスを選んで燃やすこと。二ヶ月に一回ほどのペースで、他人のビニールハウスに火をつける。最初から存在しなかったように消せる。もちろん犯罪行為だが、ベンは警察に捕まることは絶対にないという。  「韓国にはビニールハウスが多い。役立たずで汚くて目障りなビニールハウス。僕に焼かれるのを待っている気がします」  前に燃やしたのはアフリカ旅行の直前だった二ヶ月ほど前。そろそろまた燃やす頃だという。実を言うと、今日はその下見に来たのだと――。

 そしてこの日を境に、ヘミの姿が消えた。電話にも出ずマンションも空で、仕事先にも見つからない。ジョンスはベンを訪ねるが、彼のそばには新しい“彼女”の姿。ジョンスは行方不明のヘミを必死に探す。
 彼女はいったいどこへ消えたのか――!?

『バーニング 劇場版』
(2018年/韓国/カラー/148分/シネスコ/5.1chデジタル/日本語字幕:根本理恵/国際共同制作 NHK/配給:ツイン )
監督:イ・チャンドン『シークレット・サンシャイン』
原作:村上春樹「蛍・納屋を焼く・その他の短編」(新潮文庫)
出演:ユ・アイン『ベテラン』 スティーブ・ユァン「ウォーキング・デッド」シリーズ チョン・ジョンソ