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夜明け

上映中~2月28日(木)

(C)2019「夜明け」製作委員会

日時

上映中~2月28日(木)

料金

一般¥1,800/ユース(22歳以下)¥1,500/シニア¥1,100/ジュニア(15歳以下)¥800/UPLINK会員¥1,000(土日祝¥1,300/ユース(22歳以下)会員はいつでも¥1,000)

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詳細 DETAIL

【舞台挨拶決定】

1月19日(土)12:55上映後
登壇者:YOUNG DAIS、鈴木常吉、広瀬奈々子監督

2月11日(月・祝)
登壇者:鈴木常吉(本作出演)、広瀬奈々子監督


その他人が、昨日を消してくれるはずだった。

秘密を抱えて逃げてきた青年を拾ったのは、息子をなくした男。
是枝裕和・西川美和監督の愛弟子 広瀬奈々子 鮮烈のデビュー!

是枝裕和・西川美和監督が立ち上げた制作者集団「分福」が満を持して送り出す新人監督、広瀬奈々子。オリジナル脚本となる本作では、ごく普通の人々の人生を丹念に見つめながら、その奥にある複雑さ、人間の多面性を鋭く大胆な切り口で映し出す。公開に先駆けてのプレミア上映となった東京フィルメックスでは、その才能を高く評価され、見事スペシャル・メンションを受賞。韓国、ベラルーシ、アメリカ、フランス等各国の国際映画祭から招待が相次ぐなど、日本映画の新鋭として世界から熱い注目を集める存在だ。

地方の町で木工所を営む哲郎は、ある日河辺で倒れていた見知らぬ青年を助け、自宅で介抱する。「シンイチ」と名乗った青年に、わずかに動揺する哲郎。偶然にもそれは、哲郎の亡くなった息子と同じ名前だった。シンイチはそのまま哲郎の家に住み着き、彼が経営する木工所で働くようになる。木工所の家庭的な温かさに触れ、寡黙だったシンイチは徐々に心を開きはじめる。シンイチに父親のような感情を抱き始める哲郎。互いに何かを埋め合うように、ふたりは親子のような関係を築いていく。
だがその頃、彼らの周りで、数年前に町でおきた事件にまつわる噂が流れ始める──。

秘密を抱えた主人公シンイチを演じるのは、『ディストラクション・ベイビーズ』『銀魂』シリーズ等、作品ごとに変幻自在の演技を見せ、役者としてさらなる進化を遂げる柳楽優弥。是枝裕和監督作『誰も知らない』でカンヌ国際映画祭史上最年少の主演男優賞に輝き、衝撃のデビューを飾った柳楽優弥が、14年の時を経て是枝監督愛弟子の作品に主演する、まさに“運命の映画”が誕生した!哲郎役には、圧倒的存在感を放つ小林薫。ほかYOUNG DAIS、鈴木常吉、堀内敬子と実力派俳優がしっかりと脇を固める。

たったひとりのふたりが寄り添った、人生の逃避行。
昨日を終わりにするために、新しい夜明けを迎えるために─。
弱くて切実で、たまらなく愛おしい人間の営みが観る者の心を震わせる、新たな時代の傑作が登場した。

【STORY】

寄る辺なき魂を抱える若者を救ったのは、
罪の意識を抱えて生きる男。

ある日の明け方。白み始めた空の下、橋の上で朦朧としながら花束を河に投げる、ひとりの青年(柳楽優弥)の姿があった―。その朝。釣りをするため河辺にやってきた哲郎(小林薫)は、水際に倒れていた青年を見つける。「おい、大丈夫か? おい!」衰弱している青年を、哲郎はそのまま軽トラに乗せて自宅で介抱した。

一人やもめの哲郎の家。布団に包まれて目覚めた青年は、自分が東京の渋谷から来たことを告げ、自らを「ヨシダシンイチ」と哲郎に名乗る。それ以上のことは喋りたがらないし、もう帰らなきゃ、と言いつつ、特に行く先のあてもないらしい。そんな謎めいた青年に妙な執着を覚えた哲郎は、自分が経営する木工所に連れて行った。

作業台や大きな機械が立ち並ぶ木工所。そこに従業員の男ふたり――若手の庄司(YOUNG DAIS)とベテランの米山(鈴木常吉)が出勤してくる。「あれっ、新人ですか?」見知らぬ青年の姿を目にして驚く従業員たち。「元気になったんだね。なんか困ったことがあったら声かけて」事情を聞いていた宏美(堀内敬子)という事務員の女性が、青年に優しく声をかける。彼女は哲郎との結婚を間近に控えた恋人。今は兼業農家として働きながら六歳の小さな娘(高木美嘉)と母親(芹川藍)と一緒に暮らしている。職場ごと家族のような温かい雰囲気の中、青年はなりゆきで「シンイチ」として哲郎の家で生活することになった。

まもなく哲郎は青年に、空いている二階の部屋を好きに使ってくれと申し出る。それは亡くなった哲郎の息子の部屋だった。宏美によると、8年前、哲郎の妻と息子は実家に帰る途中で交通事故に遭ってしまったらしい。音楽好きの部屋らしく、たくさんのCDに楽器や機材が並ぶ。綺麗に揃えられた衣服も。そして棚の上に飾られている国家試験の技能士資格には「涌井真一」と記されていた。そう、青年は偶然にも哲郎の息子と同じ「シンイチ」という名前を名乗っていたのだった。

徐々に木工の技術を覚え、周囲にも馴染んでいく青年。会話の中からは、彼の身の上や本音が少しずつ漏れ出してくる。大学を出ているが満足な就職口につけなかったこと。高校まではサッカー選手になりたかったこと。支配的な父親のいる家庭で育ち、優秀な兄ばかり期待されていたこと……。自分の家族のことを「茶番だ」と言う青年に対し、哲郎は自らのことを顧みるようにしみじみ語る。「親父らしくあろうとすればするほど失敗するんだよなあ……」哲郎は妻との折り合いが悪かったこと、木工所の仕事を継ぎたくないと言った息子の真一を殴ってしまったこと――もう取り返しのつかない家族との確執を深く後悔しているようだった。

こうして青年は自分の素性を明かさないまま、「シンイチ」としての暮らしをだんだん定着させていく。真一と同じ金髪に髪を染め、彼が残した服を着るなど、青年は哲郎の息子の代役を、自ら引き受けるような振る舞いを見せる。互いの心の空洞や欠損を埋め合うように、絆を深める哲郎とシンイチ。しかしこの日々は本当に続くのだろうか?

その頃、彼らの周りで、数年前に町で起きた事件にまつわる噂が流れ始める。
そして、青年が抱えている、ひとつの決定的な暗い秘密が明かされる―。

『夜明け』
(2019年 / 日本 / 113分)
監督・脚本:広瀬奈々子
製作:川城和実、中江康人、宮崎伸夫
出演:柳楽優弥、YOUNG DAIS、鈴木常吉、堀内敬子、芹川藍
配給:マジックアワー