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NO SMOKING 

上映中~7月2日(木)

日時

上映中~7月2日(木)

料金

一般¥1,900/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳) ¥1,000/シニア(60歳以上)¥1,200/ジュニア(15歳以下)¥800/UPLINK会員¥1,000(土日祝¥1,300)/UPLINKユース会員(22歳以下)いつでも¥1,000【※6月12日(金)以降一般会員平日¥1,100】

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「自由にふれると、心が躍る」

細野晴臣デビュー50周年記念ドキュメンタリー映画

日本のロックミュージックの黎明期を象徴する伝説のバンド「はっぴいえんど」、テクノというジャンルを生み出し、世界中の音楽ファンに衝撃を与えた「Yellow Magic Orchestra」の中心メンバーとして活動。80年代には松田聖子、中森明菜などの楽曲を手がけ、90年代以降は先鋭的なミニマルテクノ、アンビエント、エレクトロニカに傾倒。さらに00年代からは自身のルーツである20世紀半ばのポップミュージックに回帰し、一方でカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『万引き家族』のサウンドトラックをはじめとする劇伴作家としても知られる。ひとつのジャンルに留まることなく、常に変化を繰り返し、斬新にして普遍的な音楽を創造し続けている細野晴臣。稀代の音楽家である彼の50周年を記念して制作されたのが、ドキュメンタリー映画『NO SMOKING ノースモーキング』だ。監督は佐渡岳利。NHKエンタープライズのエグゼクティブプロデューサーとして「NHK紅白歌合戦」「MUSIC JAPAN」「スコラ坂本龍一 音楽の学校」「岩井俊二のMOVIEラボ」「Eダンスアカデミー」などの制作に携わり、2015年に公開されたPerfumeのドキュメンタリー映画「WE ARE Perfume WORLD TOUR 3rd DOCUMENT」の監督もつとめた映像作家だ。

はっぴいえんどの結成秘話、YMOの爆発的なブレイク、その刺激的な変遷に迫る

細野の半生を振り返りながら、50年に及ぶ音楽活動の軌跡を追体験できる本作。音楽好きなモダンガールだった母親、英語が堪能でダンサーになりたかったという父親のもと、海外のポピュラー音楽に親しんでいた幼少期。大瀧詠一、松本隆、鈴木茂との出会いとはっぴいえんどの結成秘話。ソロ第1作「HOSONO HOUSE」からエキゾチック音楽への移行、そして「Rydeen」のヒットをきっかけにしたYMOの爆発的なブレイク。さらにアンビエントからワールドミュージックまでを網羅する幅広い音楽性、ヒット曲を数多く生み出した作曲家としてのキャリア、映画『銀河鉄道の夜』などから始まった劇伴作家としての側面などを、それぞれの時期の記録映像と細野のインタビューとともに辿っている。決まったスタイルに拘らず、常に新しいサウンドを求め、その音楽性を大きく広げてきた細野。その刺激的な変遷を再確認できることこそが、本作の核だろう。

「楽しいことがやりたい、音楽好きがいてくれれば大丈夫」

本作の音楽を手がけているのは、もちろん細野自身。YMO時代の楽曲(「Firecracker」「Cue」など)、2005年に埼玉県狭山市で行われたイベント「Hyde Park Music Festival 2005」での演奏(「ろっか・ばい・まい・べいびい」など)、キャリアを象徴する楽曲も数多く使用され、音楽家としての魅力を再発見できるはずだ。(文/森朋之 音楽ライター)

【タイトル『NO SMOKING』の意味】
世界中を旅して最も感じたことは、当然のことながらどこもNO SMOKINGだったということです。しかしそれは屋内のこと。外ではほぼ喫煙OK。意外と寛容なところがありました。紐育、倫敦では路上ポイ捨てが常識で、それに馴染めずに自分は携帯灰皿を持ち歩いたのです。それを見た土地の人から「礼儀正しいね、でも吸い殻を清掃する業者の仕事を奪う」ってなことを言われました。なるほどそういうこともあるのか。その携帯灰皿を紐育で紛失し、買い求めようとしたらどこにも売ってません。あれは日本独自のものらしい。仕方なく紙コップを持ち歩きました。日本の路上禁煙は珍しい例だそうです。香港はブロック毎に大きな灰皿が設置してあり、喫煙率が高そう。長旅でホテルに泊まれば、ぼくは1時間毎に外の喫煙所へ出ることになり、それはかなり苦痛なことです。部屋で吸えば高額な罰金を取られますから。世界が歩調を揃えているこの禁煙法には違和感を持ちつつも、逆らうことはできません。ですから人に迷惑がかからないことを念頭に、周囲を見渡しながら喫煙を心がけているわけです。喫煙所さえあれば一安心。こうしてNO SMOKINGの世界でSMOKERを自認するのは、ひょっとするとタバコをやめるよりも意志の強さが必要となります。煙を吐くだけで差別され、否応なく少数派の立場に立たされるのですから。「詭弁を言わずにやめたら?」と言われます。いやいや、20世紀の文化を支援してきた紫煙に、突然愛想をつかすわけにはいかないのです。(細野晴臣)

『NO SMOKING』(2019年/96分/日本)
出演:細野晴臣、ヴァン・ダイク・パークス、小山田圭吾、坂本龍一、高橋幸宏、マック・デマルコ、水原希子、水原佑果
音楽:細野晴臣
監督:佐渡岳利
プロデューサー:飯田雅裕
製作幹事:朝日新聞社
制作プロダクション:NHKエンタープライズ
配給:日活