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杜人(もりびと)環境再生医 矢野智徳の挑戦【再アンコール上映】

上映中〜7月28日(木)

日時

上映中〜7月28日(木)

料金

一般¥1,900/シニア(60歳以上)¥1,200/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳)¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/障がい者割引¥1,000/UPLINK会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINKユース会員(22歳以下)いつでも¥1,000

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詳細 DETAIL

舞台挨拶決定!

7月21日(木)13:00の回上映後
登壇者:前田せつ子(本作監督)

7月22日(金)15:20の回上映後
登壇者:前田せつ子(本作監督)


大好評につき、再アンコール上映が決定!

息をしている限り、まだ間に合う。

ある人は「地球の医者」と呼び、ある人は「ナウシカのよう」と言う。
人間よりも自然に従う風変わりな造園家に3年間密着。

全国で頻発する豪雨災害は本当に「天災」なのか?
風のように草を刈り、イノシシのように大地を掘って

環境問題の根幹に風穴をあける奇跡のドキュメンタリー。

「杜」とは
「この場所を 傷めず 穢さず 大事に使わせてください」と
人が 森の神に誓って 紐を張った場

なぜ植物が枯れていくのか。なぜ生きものたちが減っていくのか。いのちと向き合ううち、彼は気がついた。「大地の呼吸」が弱っていることに。人間がもたらした小さな「詰まり」が大きな土砂災害や河川の氾濫に繋がっていることに。窒息寸前の大地に息を吹き込み、堰き止められた循環を取り戻すため全国を飛び回る造園家/環境再生医・矢野智徳。自然にならう彼のやり方に共鳴し、かつての「杜」を蘇らせるべく動き始めた人々と木や大地、生きとし生けるすべてのものとの、いのちの交歓と再生の物語。

屋久島の荒波が打ち寄せる浜に、弱ったガジュマルの木が立っている。「屋久島の生態系のエネルギーでやっても追いつかないぐらい、人の負のエネルギーのほうが大きいから、こういう状態になっているんです」矢野智徳(造園家・環境再生医)が手作業を始める。その作業は大げさなものではない。ノコ鎌でガジュマルの周辺に空気が流れるよう草を払い、海へと流れる水みちに移植ゴテで軽く穴を掘っていく。だが、それだけで淀んでいた水は波紋を描いて流れ出し、ガジュマルは息を吹き返していく。
「人間以外の生きものが、ひたすら人間がやっていることを改善している。蝉も、カニも、アリも、健気な存在。人から嫌がられている植物たちも、その植物に合った風を通してやると、とたんにおとなしくなる。そういう意味では、人だけなんですよ」
「満たされないことがあって当たり前、それが自然の生態系のシステム。どの生きものたちも満たされていない。すべての生きとし生けるものがリスクを背負いあっているところで生態系のバランスは取れている」
植物や虫、大地の声を代弁するように話す矢野は30年以上のキャリアを持つ造園家であり、環境再生医だ。時に「地球のお医者さん」とも呼ばれる彼は、全国を飛び回って傷んだ植物や大地の治療にあたっている。造園業界でも、現代土木の世界でも、学術界でも見落とされてきた生態系全体に関わる大地の機能。それは「大地の呼吸」だと彼は言う。
「人間のからだでいうと呼吸と血管、空気と血液がからだの中をめぐっているのと同じように、地球全体で大気と水がからだのように循環しているんです」
かつて人はそんな自然の循環を損なうことなく暮らしてきた。「鎮守の杜」の「杜」という字は「この場所を 傷めず 穢さず 大事に使わせてください」と紐を張った場のことだった。

ところが1970年代から半世紀、国土開発という名の人間の土地利用は、大地を窒息させる方向へと突き進んできた。道路やダム、砂防堤、コンクリート擁壁やコンクリート側溝……。堰き止められた循環が長い時間をかけて問題を起こしてきていることに、彼は強い危機感を抱いていた。
「沖縄から北海道まで全く同じことが起きている。『グライ土壌』という、空気や水が循環しない土の層が全国に広がって、それがバクテリアから小動物、植物の下草から高木、あらゆる生物環境の機能に問題をもたらしてきている。まるで成人病のように」

業界では変わり者と呼ばれながらも、かつての集落では当たり前だった「結(ゆい)」作業で、雨や風、動物たちがすることにならった環境改善のやり方を彼は実践し、伝えていた。それは「大地の再生」と呼ばれ、奇しくも2011年東日本大震災をきっかけに共鳴する人が増えていく。
福島県田村郡三春町にある玄侑宗久氏が住職を務める慧日山福聚寺も、3年がかりの造園工事で、傷んだ枝垂れ桜をはじめ境内の自然が元気な表情を取り戻してきていた。
しかし、2018年7月、抑圧されてきた自然が牙を剥くように人間社会を襲い始める……。

「ナウシカのような人に 出逢った。」
~私がこの映画を撮った理由~

矢野智徳さんに初めて会ったときの衝撃を忘れない。
「虫たちは葉っぱを食べて空気の通りをよくしてくれている」
「草は根こそぎ刈るから反発していっそう暴れる」
「大地も人間と同じように呼吸している」植物や虫、大地、生きとし生けるものの声を代弁するような言葉はナウシカのようだった。風のように枝を払い、穴を掘る様子はイノシシのよう。
こんなふうに自然と関われたらどれほど豊かに生きられるだろう。いや、人間であることの罪悪感が少しは軽くなるかもしれない。それから4年後。技術も知識も経験も機材もない中で、彼を追いかける旅は始まった。
何処へ行っても、傷んだ自然とコンクリートがあった。そして、汗だくで草を刈り、泥だらけになって土を掘り、笑顔で帰っていく人々がいた。
2018年7月。西日本で大変な災害が起きた。彼が以前から警告していたことが現実となったのだ。
被災現場に駆けつけた矢野さんは言った。「土砂崩れは大地の深呼吸。息を塞がれた自然の最後の抵抗」かつての人々が大切にした言葉、「杜(もり)」=「この場所を 傷めず 穢さず 大事に使わせてください」と人が森の神に誓って紐を張った場。
自然と共に生きるすべを、人間という動物の遺伝子はきっとまだ憶えている。
この映画がその記憶の小箱を開く鍵となることを切に願う。

監督 前田せつ子

『杜人(もりびと) 環境再生医 矢野智徳の挑戦』(2022年/日本/カラー/DCP/16:9/101分)
制作・監督・撮影・編集:前田せつ子
出演:矢野智徳(造園家、環境再生医)、玄侑宗久(慧日山福聚寺住職/作家)、石田智子(慧日山福聚寺寺庭/アーティスト)、堀信行(地理学者/理学博士)、長野亮之介(イラストレーター)、一般社団法人「大地の再生 結の杜づくり」メンバー、「杜の学校」スタッフ、「大地の再生講座」参加者の皆さん ほか
音楽:山口洋(HEATWAVE)、水城ゆう
エンディングテーマ:G.Yoko「わたしをつつむもの」from the 1st album『Survive』
協力:一般社団法人 大地の再生 結の杜づくり、合同会社 杜の学校、大地の再生 技術研究所
製作協力:「杜人」プロジェクト、「杜人」を応援する会
製作・配給:リンカランフィルムズ