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【見逃した映画特集2019】ヨーゼフ・ボイスは挑発する

上映中~1月16日(木)

日時

上映中~1月16日(木)

料金

【特別料金】一般¥1,300/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳) ¥1,000/シニア(60歳以上)¥1,200/ジュニア(15歳以下)¥800/UPLINK会員¥1,000

詳細 DETAIL

彼は、社会を彫刻した。

第二次世界大戦後のドイツ。美術館を飛び出し革命を叫んだ芸術家、ヨーゼフ・ボイス。
世界中を攪乱し「芸術」を変えた男のドキュメンタリー。

白黒テレビに映し出される討論番組でフェルトの帽子を被った一人の芸術家が
苛立ち、叫ぶ。「今は民主主義がない、だから俺は挑発する!」

彼の名前はヨーゼフ・ボイス。初期フルクサスにも参加し、“脂”や“フェルト”を使った彫刻やパフォーマンス、観客との対話を作品とするボイスの創造(アート)は美術館を飛び出し、誰もが社会の形成のプロセスに加わるべきだと私たちに訴える。既存の芸術が持つ概念を拡張するその思想は、世界中に大きな議論とセンセーションを巻き起こし、「社会を彫刻する」という、貨幣経済や権力に管理された社会を創造性によってつくり直そうという試みは、バンクシーを始めとする現在のアーティストにも脈々と受け継がれている。
本作は膨大な数の資料映像と、新たに撮影された関係者へのインタビュー映像で創られた、ボイスの芸術と知られざる”傷”を見つめるドキュメンタリー映画である。
ボイスの肉声やパフォーマンス映像は、30年以上前のものであるにもかかわらず、生々しく、力強い。今、ボイスの言葉たちが、時を超え、再び私たちを挑発する——。

よけいな説明が少なく、しかも洗練されたサウンドデザインが施されていて、よいドキュメンタリーは、それ自身がアートだと思う。

今まで知らなかった、ボイスの繊細さ、傷つきやすさと真剣さ、夢想家と理性の人という両面を知ることができた。そして「傷」というのがボイスの芸術を解く鍵ではないかということも。

資本主義が終焉を迎えている今、その先を見据えた経済・芸術を唱えたボイスの思考を知る、格好のドキュメンタリーだと思う。

——坂本龍一(音楽家)

『ヨーゼフ・ボイスは挑発する』
(原題:Beuys/2017年/ドイツ/107分/ドイツ語、英語/DCP/16:9/5.1ch)
監督・脚本:アンドレス・ファイエル
撮影:ヨーク・イェシェル
編集:シュテファン・クルムビーゲル、オラフ・フォクトレンダー
音楽:ウルリヒ・ロイター、ダミアン・ショル
出演:ヨーゼフ・ボイス、キャロライン・ティズダル、レア・トンゲス・ストリンガリス、フランツ・ヨーゼフ・ヴァン・デル・グリンテン、ヨハネス・シュトゥットゲン、クラウス・シュテーク
字幕翻訳:渋谷哲也
配給・宣伝:アップリンク