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去年マリエンバートで 4Kデジタル・リマスター版

上映中~1月23日(木)

©1960 STUDIOCANAL - Argos Films – Cineriz

日時

上映中~1月23日(木)

料金

一般¥1,900/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳) ¥1,000/シニア(60歳以上)¥1,200/ジュニア(15歳以下)¥800/UPLINK会員¥1,000(土日祝¥1,300)/UPLINKユース会員(22歳以下)いつでも¥1,000

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※当館では2K上映となります。

【ヌーヴェル・ヴァーグ】と【ヌーヴォー・ロマン】の奇跡の結晶。
【文学】と【映画】の最前線が交わった、真の革命。映画史に屹立する、永遠の神秘。

1961年ヴェネツィア国際映画祭 金獅子賞 受賞
1962年フランス映画批評家連盟賞 作品賞 受賞


1959年、カンヌ。アラン・レネが、作家マルグリット・デュラスに脚本を依頼した初の長編映画『二十四時間の情事(ヒロシマ・モナムール)』は、『夜と霧』(55)に続き、「政治的な理由」によって、時の政府の判断でコンペティション部門への出品が見送られる。しかし、コンペ外での上映にも関わらず、ゴダールやリヴェット、ロメール、トリュフォーら若き映画人からは称賛の嵐。一大センセーションを巻き起こし、一躍【ヌーヴェル・ヴァーグ】の先駆者として、世界にその名を知らしめたアラン・レネ。「スペクタクル(見世物)の演出家」を自認しているレネにとっては、タッグを組む脚本家が何よりも重要。次作はもっと過激に、映画の文法を破壊したいー。果たして、誰と組むべきか。
一方、それまでの小説で当たり前と思われていたルール全てに「アンチ」を突きつけ、戦後世界文学に革命的な地殻変動をもたらしたムーヴメント【ヌーヴォー・ロマン】の旗手として、文学界に名を轟かせていた作家アラン・ロブ=グリエ。ずっとあたためている欲望があった。映画を撮りたいー。後に、監督デビュー作として結実する『不滅の女』(63)の脚本はすでに書き上げており、レネには自分の抱いていたテーマと共通したものを見出し、大きな注目を寄せていた。
アラン・レネ、アラン・ロブ=グリエ、ともに当時38歳。新しい時代に突入しつつあったそのうねりのど真ん中で、運命的なタイミングで出会ったふたりのアランは「全てについて意見が一致」し、即座に意気投合。人物像、心理描写、テーマ、教訓…といった従来映画で必要とされているはずの要素は最小限に剥ぎ取られ、映画のエクリチュールだけを使ってリアルな感情を呼び起こす、という空前絶後の作品づくりに挑む。

そうして誕生した映画は、またもカンヌ出品が見送られるも、ジャン・コクトーやジャコメッティなどの芸術家を始め、映画人・批評家・ジャーナリストから大絶賛、ヴェネツィア国際映画祭では最高賞にあたる金獅子賞を受賞。公開直後より、「ル・モンド」紙が観客の千差万別の感想をアンケートした特集を組むなどスキャンダラスな話題を呼び、半世紀を経た今なお、観るもの全てを異次元の道へと誘う、あらゆる相貌をたたえた映画芸術の到達点といえる名作となった。映画だけでなく、アート全般に比類なき影響を及ぼし、破格の存在感で映画史に君臨しつづけている。

ココ・シャネルがデザインした、ため息が出るほど美しい衣装の数々。

映画界においても、ジャン・コクトー、ジャン・ルノワール、ルイ・マル、ルキーノ・ヴィスコンティといった巨匠たちと交際し、ジャンヌ・モロー、ロミー・シュナイダーらスター女優の鮮烈な衣装をデザインし、スクリーンを比類なき輝きで彩ってきたココ・シャネル。しかし、シャネルがその87年の生涯においてデザインした無数の作品の中でも、「シャネル・スタイルの記念碑的作品」、「ファッション業界に最も影響を与えたスタイル」と称賛されているのが、『去年マリエンバートで』のヒロイン、デルフィーヌ・セイリグが身にまとう衣装だ。
シャネルの原点回帰ともいえる、シンプルにしてエレガント、モダンにしてクラシカルなブラック&ホワイトのナイトドレス、ファーコート、バイカラーのパンプス&スツール、そしてパールのジュエリー。本作のために創られた美しいアイテムの全ては、映画が公開されるや、「ドレス・ア・ラ・マリエンバート」と呼称され、世界的なブームを巻き起こした。
公開50周年となった2011年には、故カール・ラガーフェルドが手がけた春夏のシャネル・コレクションにて「マリエンバート・スタイル」にインスパイアされたドレスやシューズとともに、舞台である幾何学的な庭園にオマージュを捧げた巨大セットが出現。本作のメモリアル・イヤーを、盛大に祝福。そして、2018年にはシャネルの主導により、半世紀の時を経て、最高精細・最高解像度での4Kデジタル完全修復が実現。シャネルの華麗な衣装の数々が永遠の美しさをまとい、鮮烈によみがえる。

【STORY】

まどろむ記憶、混じり合う時間、交錯する夢と現。
時を彷徨う、果てしない愛の物語。

バロック風の豪奢で陰鬱な、迷路のようなホテル。夜会服をまとった紳士淑女たちが、演劇やコンサートに無表情に身を沈め、いかさまゲームに興じ、人形のようにワルツを踊り、ナンセンスな会話を繰り返している。
そこに、ひとりの男がやってくる。去年出会い、恋に落ち、そして1年後に駆け落ちする約束をした女をここから連れ出すために。しかし再会した女は、そのようなことは全く覚えていないと拒絶する。あなたの夢物語でしょうと。まるで、このホテルには過去など、はたまた恋や愛などという概念は存在しないかのように。
彼女は去年の出来事を忘れてしまったのか?

『去年マリエンバートで 4Kデジタル・リマスター版』(1961年/イタリア=フランス/94分/モノクロ/シネスコ/原題:L’Année dernière à Marienbad/英題:Last Year at Marienbad) 
監督:アラン・レネ(『夜と霧』『二十四時間の情事(ヒロシマ・モナムール)』)
出演:ジデルフィーヌ・セイリグ(『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』『ロバと王女』『夜霧の恋人たち』)ジョルジョ・アルベルタッツィ(『エヴァの匂い』)、サッシャ・ピトエフ(『追想』)他 
脚本:アラン・ロブ=グリエ『不滅の女』『快楽の漸進的横滑り』
撮影:サシャ・ヴィエルニ、フィリップ・ブラン 
編集:アンリ・コルピ、ジャスミン・ジャズニー 
音楽:フランシス・セイリグ 
美術:ジャック・ソニエ
衣装:ベルナール・エヴァン 
衣装提供:シャネル 
製作:ピエール・クロー、レイモン・フロマン   
字幕翻訳:細川晋
配給:セテラ・インターナショナル