ヴィム・ヴェンダース レトロスペクティブ
ROAD MOVIES/夢の涯てまでも
ヴェンダース監督監修による最新マスターで
名作が劇場にふたたび舞い降りる
現代ドイツを代表する映画監督、ヴィム・ヴェンダース。その作品の中心にあるのが、彼の代名詞ともいえるロードムービー。かりそめの出会いと別れを繰り返す彼らの旅は、迂回し、迷い、目的を失い、ときに引き返す。移動のなかから物語は紡がれ、それが“映画”となっていく。初期ロードムービー三部作をはじめ、代表作の『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』、日本を題材にしたドキュメンタリー、さらに本邦初の劇場公開となる『夢の涯てまでも』のディレクターズカット版と、ヴェンダースの魅力が詰まった珠玉の10作品が監督自らの監修による最新マスターで一挙公開。
【上映スケジュール】
12月24日(金) |
『ベルリン・天使の詩』
『アメリカの友人』
|
12月25日(土) |
『パリ、テキサス』
『ベルリン・天使の詩』
|
12月26日(日) |
『パリ、テキサス』
『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』
|
12月27日(月) |
『さすらい』
『都市とモードのビデオノート』
|
12月28日(火) |
『都会のアリス』
『パリ、テキサス』
|
12月29日(水) |
『アメリカの友人』
『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』
|
12月30日(木) |
『夢の涯てまでも』
|
12月31日(金) |
『パリ、テキサス』
|
1月1日(土) |
(休館日)
|
1月2日(日) |
『東京画』
『パリ、テキサス』
|
1月3日(月) |
『ベルリン・天使の詩』
『パリ、テキサス』
|
1月4日(火) |
『まわり道』
『パリ、テキサス』
|
1月5日(水) |
『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』
『ベルリン・天使の詩』
|
1月6日(木) |
『夢の涯てまでも』
|
1月7日(金) |
『ベルリン・天使の詩』
|
1月8日(土) |
『都会のアリス』
|
1月9日(日) |
『東京画』
|
1月10日(月) |
『さすらい』
|
1月11日(火) |
『まわり道』
|
1月12日(水) |
『アメリカの友人』
|
1月13日(木) |
『パリ、テキサス』
|
【上映作品】
都会のアリス 2Kレストア版
ALICE IN DEN STÄDTEN
1974年/西ドイツ/モノクロ/ヨーロピアン・ビスタ/112分
© Wim Wenders Stiftung 2014
アメリカでの仕事がうまくいかずドイツに帰国しようとした青年フィリップは、空港で足止めをくらい、そこで同じくドイツへ帰国しようとしていた母娘と出会う。母親リザは、一方的に娘アリスを彼に託して姿を消してしまい、途方にくれた二人は、アリスの記憶を頼りに彼女の祖母を訪ねる旅へと出発する。道中の二人の何気ない仕草やユーモラスな会話も本作の魅力となっている。
出演:リュディガー・フォグラー、イェラ・ロットレンダー、リザ・クロイツァー
音楽:CAN
まわり道 4Kレストア版
FALSCHE BEWEGUNG
1975年/西ドイツ/カラー/ヨーロピアン・ビスタ/103分
© Wim Wenders Stiftung 2015
母親と二人で暮している作家志望の青年ヴィルヘルム。何も書くことができないでいた彼は、母親の勧めで作家としての才能を見出すため旅に出る。 道中、芸人ラエルテスと少女のミニョン、女優のテレーゼ、放浪詩人ベルンハルトたちと出会いゆきずりの旅をともにする。何ら共通点のない彼らが様々な事を語り合い旅を続けるなかで、意外な過去が明らかになり、思いもよらない事態へと展開していく……。
出演:リュディガ-・フォグラ-、ハンナ・シグラ、ナスターシャ・キンスキー、ペーター・ケルン
脚本:ペーター・ハントケ
さすらい 4Kレストア版
IM LAUF DER ZEIT
1976年/西ドイツ/モノクロ/ヨーロピアン・ビスタ/175分
© Wim Wenders Stiftung 2014
第29回カンヌ国際映画祭 国際映画批評家連盟賞受賞
大型ワゴンに乗り、フィルム運びや映写技師の仕事をしているブルーノは、ある朝、“カミカゼ”のように猛スピードの車で河に突っ込んだ男ローベルトと出会う。意気投合した二人は旅をともにし、男の友情と出会いの物語が紡がれる。ロードムービー三部作の完結編となる本作は、スタッフが実際に旅をしながら撮影する即興演出を採用し、ヴェンダースが国際的に注目を浴びるきっかけとなった。
出演:リュディガー・フォグラー、ハンス・ツィッシュラー、リザ・クロイツァー
アメリカの友人 4Kレストア版
DER AMERIKANISCHE FREUND
1977年/西ドイツ・フランス/カラー/ヨーロピアン・ビスタ/126分
© Wim Wenders Stiftung 2014
贋作をさばくアメリカ人画商のリプリーは、オークション会場で額縁職人ヨナタンと出会う。彼が病で余命いくばくもないことを知ったリプリーは殺人の仕事を紹介し、妻子のために金を残したいヨナタンは依頼を引き受ける。贋作画家を演じるニコラス・レイをはじめ、サミュエル・フラー、ジャン・ユスターシュ、ダニエル・シュミットなど、ヴェンダースが敬愛する映画監督陣が脇を固める。
出演:デニス・ホッパー、ブルーノ・ガンツ、リザ・クロイツァー 、ジェラール・ブラン
原作:パトリシア・ハイスミス
パリ、テキサス 2Kレストア版
PARIS, TEXAS
1984年/西ドイツ・フランス/カラー/ヨーロピアン・ビスタ/148分
© Wim Wenders Stiftung 2014
第37回カンヌ国際映画祭 パルム・ドール受賞
荒野をさまよっていた男がガソリンスタンドで気絶する。記憶を失った男の持ち物を手がかりに連絡を受けたウォルトだが、男は4年前に失踪した兄トラヴィスだった。彼はテキサス州パリの荒野に所有しているという土地に向かおうとしていた。少しずつ記憶を取り戻したトラヴィスは、息子とともに妻を捜す旅に出るが……。雄大な風景とライ・クーダーによるスライドギターの音色が哀愁を誘う。
出演:ハリー・ディーン・スタントン、ナスターシャ・キンスキー、ハンター・カーソン、ディーン・ストックウェル
音楽:ライ・クーダー
東京画 2Kレストア版
TOKYO-GA
1985年/西ドイツ・アメリカ/カラー/スタンダード/92分
© Wim Wenders Stiftung 2014
1983年4月、東京で開催されたドイツ映画祭のために来日したヴェンダースは、小津安二郎の描いた“東京”を探して街をさまよい歩く。撮影のエドワード・ラックマンと録音のヴェンダース二人だけの旅は、パチンコや竹の子族、食品サンプルなど当時の“日本的”なる風景を写し、『東京物語』主演の笠智衆、小津組の名カメラマン厚田雄春との対話を通して、小津の“東京”と、近代化した当時の東京を描き出す。
出演:笠智衆、厚田雄春、ヴェルナー・ヘルツォーク、クリス・マルケル
ベルリン・天使の詩 4Kレストア版
DER HIMMEL ÜBER BERLIN
1987年/西ドイツ・フランス/パートカラー/ヨーロピアン・ビスタ/128分
© Wim Wenders Stiftung – Argos Films
第40回カンヌ国際映画祭 監督賞受賞
天使ダミエルは、人々の心の声を聞き、彼らの苦悩に寄り添っている。ある日、孤独を抱えたサーカスの舞姫マリオンに出会い、彼女に恋をしたダミエルは、天界から人間の世界に降りることを決意する……。壁崩壊以前のベルリンを舞台に、天使の世界をモノクロ、人間の世界をカラーで表現した映像美と、後にノーベル賞作家となるペーター・ハントケによる詩的な脚本で紡がれる壮大な映像詩。
出演:ブルーノ・ガンツ、ソルヴェーグ・ドマルタン、オットー・ザンダー、クルト・ボウワ 、ピーター・フォーク
都市とモードのビデオノート 4Kレストア版
AUFZEICHNUNGEN ZU KLEIDERN UND STÄDTEN
1989年/西ドイツ・フランス/カラー/スタンダード/81分
© Wim Wenders Stiftung 2014
パリ、ポンピドゥー・センターからの依頼により、“黒の衝撃”で世界を席巻したファッションデザイナー、山本耀司のパリ・コレクションの準備過程を追ったドキュメンタリー。旧型のフィルムカメラとビデオカメラが入れ子状に組み合わされた大胆な構成と、監督との対話によって、山本耀司の服作りからファッションに対する真摯な姿勢が紡ぎ出される。
出演:山本耀司、ヴィム・ヴェンダース
企画:ジョルジュ・ポンピドゥー国立芸術文化センター
夢の涯てまでも ディレクターズカット 4Kレストア版
BIS ANS ENDE DER WELT – Director’s Cut
1994年/ドイツ・フランス・オーストラリア/カラー/ヨーロピアン・ビスタ/287分
© Wim Wenders Stiftung 2015
1999年、制御不能になった核衛星の墜落が予測され、世界滅亡の危機に瀕していたなか、ヴェネチアからあてもなく車で旅に出たクレアは、お尋ね者のトレヴァーと運命的に出会う。目的不明の旅を続けるトレヴァーに惹かれたクレアは後を追うが、彼は父親が発明した装置を使って世界中の映像を集め、盲目の母親の脳に送り込もうとしていた……。世界を股にかけて繰り広げられるSF大作の完全版。
出演:ウィリアム・ハート、ソルヴェイグ・ドマルタン、サム・ニール、ジャンヌ・モロー、笠智衆
ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ
BUENA VISTA SOCIAL CLUB
1999年/ドイツ・アメリカ/カラー/ビスタ/105分
© Wim Wenders Stiftung 2014
ライ・クーダーがキューバ音楽の巨人たちと創り上げたアルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」は大ヒットを記録し、1997年グラミー賞を受賞した。ヴェンダースは、キューバを再訪するライ・クーダーの旅に同行し、クラブのメンバーとの交流を記録する。色彩が溢れ情緒豊かなハバナの街並みと、語られる面々の生い立ち。そして彼らは音楽の殿堂カーネギーホールでの公演に臨む……。
出演:ライ・クーダー、イブライム・フェレール、ルベーン・ゴンザレス、オマーラ・ポルトゥオンド、エリアデス・オチョア
ヴィム・ヴェンダース|Wim Wenders
© Peter Lindbergh
1945年8月14日、デュッセルドルフ生まれ。ミュンヘン・テレビ映画大学で実験的な短編作品を制作した後、『ゴールキーパーの不安』(1971)で長編映画デビュー。ロードムービー三部作となる『都会のアリス』(1974)、『まわり道』(1975)、『さすらい』(1976)を発表し国際的な注目を浴びると、『パリ、テキサス』(1984)でカンヌ国際映画祭パルム・ドール、『ベルリン・天使の詩』(1987)でカンヌ国際映画祭監督賞、『ことの次第』(1982)でヴェネチア国際映画祭金獅子賞、『ミリオンダラー・ホテル』(2000)ではベルリン国際映画祭の銀熊賞を受賞。近作に『世界の涯ての鼓動』『ローマ法王フランシスコ』(ともに2018)などがある。
ニュー・ジャーマン・シネマの先駆者のひとりであり、現代ドイツを代表する映画監督であるほか、写真家としても活動している。
配給:東北新社