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熱帯魚 デジタルリストア版【『1秒先の彼女』公開記念 チェン・ユーシュン監督特集】 Tropical Fish

上映中~6月23日(水) ※『ラブゴーゴー』と日替わり上映

日時

上映中~6月23日(水) ※『ラブゴーゴー』と日替わり上映

料金

【特別料金】一般¥1,300/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳) ¥1,000/シニア(60歳以上)¥1,200/ジュニア(15歳以下)¥800/UPLINK会員¥1,000/UPLINKユース会員¥900/『1秒先の彼女』チケット割(窓口限定)¥1,000

詳細 DETAIL

第48回ロカルノ国際映画祭 青豹賞
第32回金馬奨 最優秀脚本賞・最優秀助演女優賞
1995年モンペリエ映画祭 ゴールデンパンダ賞

チェン・ユーシュン監督が
90年代台湾を独特のタッチでコミカルに描いた、傑作コメディ

「初監督作品『熱帯魚』が国際映画祭で大喝采 ブレイクする台湾映画、侯孝賢の次はこの人だ」というセンセーショナルな見出しと共に、水族館の大きな水槽の前でポーズを決めるチェン・ユーシュン(陳玉勲)監督が、週刊文春の見開きグラビアページを飾ったのは1997年3月、『熱帯魚』の日本初公開に合わせてのことだった。
テレビドラマ出身のチェン監督は、当時台湾で頻発していた誘拐事件に高校入試を控えた生徒が巻き込まれるというユニークな設定のコメディ娯楽映画を世に送り出し、台湾ニューシネマ特有の、とっつきにくさと難解さに辟易していた台湾の映画ファンを劇場へ呼び戻した。そしてアーティスティックで社会派な重厚感溢れる台湾ニューシネマこそが台湾映画の真髄と思い込んでいた世界中のシネフィルたちも、それらの作品群とは一線を画す台湾映画の新境地を見せつけられ、チェン監督に拍手喝采を送ることになる。

荒唐無稽な台湾の日常にこそ、物語の題材が広がっている

自身初の監督作品を撮るにあたり、チェン監督は“台湾” を意識したという。1987年に38年続いた戒厳令が解除された台湾は、猛スピードで民主化の一途をたどる一方で、目覚ましい経済成長の中途にあった。1990年に米TIME誌が「貪欲な島」と形容したように、台湾中の誰もが株式投資や不動産投機に走り、賭博に興じ、拝金主義的な価値観が誘拐事件を含む凶悪犯罪を誘発した時代でもあった。社会はバランスを欠き、都市と地方、貧富、高学歴と無教養等様々な格差に溢れていた。
当時の世相を反映するさまざまな要素をユーモアたっぷりに盛り込みつつ、急速に都市化する生活で失われつつあった、台湾人が元来持ち合わせている古き良き人情味や、素朴さ、そして人の良さをコミカルなタッチで描いた野心作。その背景は、台湾青春映画『あの頃、君を追いかけた』(11)や『私の少女時代』(15)に描かれる、1990年代半ばの台湾のリアルタイムな姿であり、チェン監督の考える荒唐無稽な台湾の日常だった。

「もう」なのか「まだ」なのかは定かではない。あれから20年。チェン監督がフィルムに収めた当時の風景は、失われ、または姿を変えてしまったものも少なくないだろう。ただ、チェン監督がスクリーンを優雅に泳ぐ熱帯魚に託した“夢見ること” と作品に流れるみずみずしさとイノセンスは、決して色あせることはないのだ。

【STORY】

小学生誘拐事件に、落ちこぼれ受験生のツーチャンが巻き込まれた。長閑な海辺の村で親切な誘拐犯一家と不遇の少年たちとの奇妙な同居生活が始まる。学歴社会、過熱するマスコミ報道——90年代台湾をチェン・ユーシュン監督が独特のタッチでコミカルに描いた、傑作コメディ。

『熱帯魚 デジタルリストア版』(1995年/台湾/108分/原題:熱帶魚/英語タイトル: Tropical Fish)
監督・脚本:チェン・ユーシュン(陳玉勲)
出演:リン・ジャーホン(林嘉宏)、シー・チンルン(席敬倫)、リン・チェンシェン(林正盛)、アピポー(阿匹婆)、ウェン・イン(文英)、リェン・ピートン(連碧東)、ルオ・ビン(羅斌)、リー・ジンメイ(李靜美)、チェン・ムーイー(陳慕義)、ホアン・メイウェン(黄美文)、ラン・ズーユン(郎祖筠)、リー・ウェンユエン(李文媛)
エグゼクティブ・プロデューサー:ワン・トン(王童)
プロデューサー:シュー・リーコン(徐立功)/ワン・シャオディー(王小棣)
撮影:リャオ・ベンロン(廖本榕)
照明:ワン・シェン(王盛)
録音:ヤン・ジンアン(楊静安)
編集:チェン・シェンチャン(陳勝昌)
美術:チャン・ダイ(張代)
視覚効果:ザン・ピン(臧平)
音響効果:フー・ディンイー(胡定一)/シエ・ヤンソン(謝揚嵩)
音楽:ユィ・グアンイェン(于光彥)