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【5】桃太郎 海の神兵/くもとちゆうりつぷ<世界の映画祭とアニメーション>【松竹映画100周年記念作品『キネマの神様』公開記念 特選DCP上映】

8月8日(日)、8月12日(木)、8月26日(木)上映 ※二本立て上映

『くもとちゆうりつぷ』©1942松竹株式会社、『桃太郎 海の神兵』©1945松竹株式会社

日時

8月8日(日)、8月12日(木)、8月26日(木)上映 ※二本立て上映

料金

【二本立て料金】一律¥1,500/UPLINK会員¥1,400/UPLINKユース会員¥1,300 ※サービスデー適用外

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詳細 DETAIL

松竹映画100周年作品『キネマの神様』公開記念 特選DCP上映

映画『キネマの神様』の公開を記念して、特集上映「松竹映画100周年記念作品『キネマの神様』公開記念 特選DCP上映」を開催します。本特集では、一人でも多くの方が“キネマの神様”に出会えることを願い、是非スクリーンでご覧いただきたい傑作の数々を上映します。

■【松竹映画100周年記念作品『キネマの神様』公開記念 特選DCP上映】
全体スケジュールのご確認はこちら


※「桃太郎 海の神兵」は、戦時下の国策映画ですが、日本のアニメーション映画史にとって非常に重要な作品であることをご理解のうえ、ご鑑賞下さい。

第69回カンヌ国際映画祭 クラシック部門

日本の海軍省より国策動画映画製作の命を受け1944年に松竹動画研究所によって製作され、戦時下の1945年4月12日に公開された日本初の長編動画(白黒、74分)でフィルムは9巻。南方戦線のセレベス島・メナドへの日本海軍の奇襲作戦を題材に海軍陸戦隊落下傘部隊の活躍を描き、当時の日本政府の大義であった「八紘一宇」と「アジア解放」を主題にした大作である。74分という当時の国産動画映画としては長編作品であり、当時の日本政府、海軍より27万円という巨費と100名近い人員を投じて制作されたという。落下傘部隊のシーンは、1週間の体験入隊を行うなどして実際の動きを細かく分析、マルチプレーン撮影台や透過光などの特殊効果も用いた大掛かりな制作であった(特に透過光の使用は世界初であるとも言われている)。

【STORY】

富士山のふもとにある動物たちが住む村に海軍に出征していた猿、犬、雉、熊が休暇で帰ってくる。思い思いに休暇を楽しむ彼らのうち、猿は弟を含む近所の子供たちから海軍の仕事について聞かれると航空兵であると語るがそれは嘘で実際は猿と犬、熊は極秘で編成された海軍陸戦隊落下傘部隊であった。やがて休暇が終わり彼らは海軍設営隊と現地民が協力して建設した飛行場に赴き現地民に日本語を教える傍ら桃太郎隊長と共に訓練に明け暮れる。やがてかつて平和な島だったが鬼のだまし討ちにより征服された『鬼ヶ島』への空挺作戦が発動される…。

『桃太郎 海の神兵』(1945年/74分/モノクロ/2Kデジタル修復版)
監督・脚本:瀬尾光世
制作:松竹動画研究所
音楽:古関裕而
配給:松竹


第61回ロカルノ映画祭上映

1943年に松竹動画研究所(当時)によって制作されて公開された白黒アニメーション作品。太平洋戦争中に日本で制作された貴重な国産アニメである。2巻の16分作品。松竹の初のアニメーション作品ということで多大な予算をかけ、大学初任給が60円だった当時に倍以上の150円の給料で10名のスタッフを雇い、1942年から制作を開始した。16分の作品に2万枚の動画枚数をかけ、プレスコ方式が用いられている。てんとう虫の声は童謡歌手の杉山美子、クモの声はオペラ歌手の村尾護郎があてて、歌いながら進行するミュージカルアニメである。
当時日本で一般的であった切り絵アニメーションではなく、このアニメではすべてセル画を利用して作られている。当時はセルは貴重品であったため、「セル洗い」を繰り返し、セルを使いまわしていた。色の諧調を綺麗に出すために、白黒作品ではあるが、セル画に彩色が施されている。松竹動画研究所の製作課長に招かれた政岡憲三が監督を務め、主人公のてんとう虫の動きは水着を着た政岡の妻をモデルにして作画された。漫画家の松本零士は、本作を幼少期に兵庫県明石市で見て、アニメ制作を志したという。同じ明石市の劇場では偶然、後に漫画家になる手塚治虫も本作を見ていたといい、後年に二人が初めて出会った際、本作を同日に見ていたことが判明した。後の漫画家のうしおそうじは、滋賀県八日市市で添え物として上映されているのを偶然見て、戦時下にこのような叙情的な作品が作られたことに涙を流したと記した。なお原作は1ページ半のそっけないもので、アニメの叙情性は原作者よりも政岡憲三によるところが大きい。

【STORY】

花畑を舞台とし、てんとう虫の女の子とクモとの追い掛けっこが物語の軸となっている。樹の上にクモの巣を張り、その前にあるハンモックへ誰かを乗せようと辺りを見回したクモは、歌を歌う女の子を見つけ「ハンモックへ乗って遊ばないか」と誘う。てんとう虫の女の子は「ありがとう」としながらも「陽が落ちて、三日月さまが出たから遊ばない」と断りクモと別れる。諦めきれないクモは糸を巧みに操りながら執拗にてんとう虫を追いかけ続け、危険を察したチューリップは花の中にてんとう虫を引き入れてかくまうが…。

『くもとちゆうりつぷ』(1943年/15分/モノクロ/2Kデジタル復元版)
原作:横山美智子
監督・脚本:政岡憲三
音楽:弘田龍太郎
制作:松竹動画研究所
配給:松竹