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シャンタル・アケルマン映画祭 デジタルリマスター版 Chantal Akerman

上映中~6月9日(木)

日時

上映中~6月9日(木)

料金

一般¥1,900/シニア(60歳以上)¥1,200/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳)¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/障がい者割引¥1,000/UPLINK会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINKユース会員(22歳以下)いつでも¥1,000

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シャンタル・アケルマン映画祭

「時間が過ぎ行くのを感じさせるのは映画において最も大切なことのひとつだ」
ありきたりにも響くこの言葉を残したシャンタル・アケルマンは、今回まとめて上映される5本の作品によって、
その深遠なる意味を私たちの中に響かせることになるだろう。
砂糖を貪る、じゃがいもの皮を剥く、セーターを脱ぐ、ハイヒールを響かせて歩く、歌を歌う、髪を解き煙草を吸う、
彼女たちの、彼らの日常の仕草、ささやかな物語がまさに時間とともに、より大きな物語、歴史の大河へと流れ出していく。
眩暈を起こさせるほどに欲望する他者とは交われどもすれ違っていく。
しかしそのすれ違い、他者への跳躍こそが、私たちを、
そして歴史を作っていることをアケルマンの映画は、親密さとともに確認させてくれる。

坂本安美(アンスティチュ・フランセ日本 映画プログラム主任)

【上映日程】

5月27日(金) 『私、あなた、彼、彼女』
5月28日(土) 『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』
5月29日(日) 『アンナとの出会い』
5月30日(月) 『囚われの女』
5月31日(火) 『オルメイヤーの阿房宮』
6月1日(水) 『私、あなた、彼、彼女』
6月2日(木) 『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』
6月3日(金) 『アンナとの出会い』
6月4日(土) 『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』
6月5日(日) 『私、あなた、彼、彼女』
6月6日(月) 『囚われの女』
6月7日(火) 『オルメイヤーの阿房宮』
6月8日(水) 『アンナとの出会い』
6月9日(木) 『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』

【上映作品】

『私、あなた、彼、彼女』
Je Tu Il Elle
(1974年/ベルギー・フランス/モノクロ/86分)


© Chantal Akerman Foundation

アケルマン自身が演じる名もなき若い女がひとり、部屋で家具を動かし手紙を書き、裸で砂糖をむさぼる。部屋を出た彼女はトラック運転手と行動を共にし、訪れた家で女性と愛を交わす……。撮影時24歳だったアケルマンによる“私”のポートレイト。殺風景な空間と単調な行為が彼女の閉塞感や孤独を際立たせ、激しく身体を重ね合うことで悦びがドラマティックに表現される。観客は彼女の道程を緊張感を持って見つめることによって、その“時間”を彼女と共有する。

監督・脚本:シャンタル・アケルマン
撮影:ベネディクト・デルサル
出演:シャンタル・アケルマン、クレール・ワティオン、ニエル・アレストリュプ

『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』
Jeanne Dielman, 23, quai du Commerce, 1080 Bruxelles
(1975年/ベルギー・フランス/カラー/200分)


© Chantal Akerman Foundation

ジャンヌは思春期の息子と共にブリュッセルのアパートで暮らしている。湯を沸かし、ジャガイモの皮を剥き、買い物に出かけ、“平凡な”暮らしを続けているジャンヌだったが……。アパートの部屋に定点観測のごとく設置されたカメラによって映し出される反復する日常。その執拗なまでの描写は我々に時間の経過を体感させ、反日常の訪れを予感させる恐ろしい空間を作り出す。主婦のフラストレーションとディティールを汲み取った傑作。ジャンヌを演じるのは『去年マリエンバートで』(61)『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』(72)のデルフィーヌ・セイリグ。

監督・脚本:シャンタル・アケルマン
撮影:バベット・マンゴルト
出演:デルフィーヌ・セイリグ、ジャン・ドゥコルト、ジャック・ドニオル=ヴァルクローズ

『アンナの出会い』
Les Rendez-vous d’Anna
(1978年/ベルギー・フランス・ドイツ/カラー/127分)


© Chantal Akerman Foundation

最新作のプロモーションのためにヨーロッパの都市を転々とする女流映画監督を描く、アケルマンの鋭い人間観察力が光る一本。教師、母親、母親の友人らとの接触を挟みながら、常に孤独に彷徨い歩く主人公アンナの姿と、日常に溶け込みはしない断片的な空間と時間とを通して、アイデンティティや幸福の本質が絶妙な構成で描き出されている。『パリ・テキサス』(84)のオーロール・クレマン、『キャバレー』(72)のヘルムート・グリーム、『フェリーニのアマルコルド』(73)のマガリ・ノエルとアケルマン作品にしては豪華なキャストが揃う。

監督・脚本:シャンタル・アケルマン
撮影:ジャン・パンゼ
出演:オーロール・クレマン、ヘルムート・グリーム、マガリ・ノエル

『囚われの女』
La Captive
(2000年/フランス/カラー/117分)


© Corbis Sygma – Marthe Lemelle

祖母とメイド、そして恋人のアリアーヌとともに豪邸に住んでいるシモンは、アリアーヌが美しい女性アンドレと関係を持っていると信じ込み、次第に強迫観念に駆られていく。マルセル・プルーストの「失われたときを求めて」の第五篇、「囚われの女」の大胆で自由な映像化。嫉妬に苛まれ、愛の苦悩に拘束される虜囚の境地をアケルマンは洗練された表現で描写する。ジャン=リュック・ゴダールの『軽蔑』(63)やアルフレッド・ヒッチコックの『めまい』(58)をも想起させるこの傑作は公開年の「カイエ・デュ・シネマ」ベストテンで2位に選ばれた。

監督・脚本:シャンタル・アケルマン
撮影:サビーヌ・ランスラン
出演:スタニスラス・メラール、シルヴィ・テスチュー、オリヴィエ・ボナミ

『オルメイヤーの阿房宮』
La Folie Almayer
(2011年/ベルギー・フランス/カラー/127分)


© Chantal Akerman Foundation

東南アジア奥地の河畔にある小屋で暮らす白人の男オルメイヤー。彼は現地の女性との間に生まれた娘を溺愛し外国人学校に入れるが、娘は父親に反発するように放浪を重ねていく……。『地獄の黙示録』(79)のもとになった「闇の奥」で知られるイギリスの作家ジョゼフ・コンラッドの処女小説を脚色。時代も場所も明かされず抽象化された設定の中で、狂気と破滅の物語が繰り広げられる。原作の持つ実存主義と家父長制という重苦しいテーマを孕みながらも、アジアの街並みを自在に歩き回る娘を横移動で捉えたカメラが素晴らしく、幻想的なまでに美しい。

監督・脚本:シャンタル・アケルマン
撮影:レイモンド・フロモン
出演:スタニスラス・メラール、マルク・バルベ、オーロラ・マリオン

シャンタル・アケルマン | Chantal Akerman

1950年6月6日、ベルギーのブリュッセルに生まれる。両親は二人ともユダヤ人で、母方の祖父母はポーランドの強制収容所で死去。母親は生き残ったのだという。女性でありユダヤ人でありバイセクシャルでもあったアケルマンは15歳の時にジャン=リュック・ゴダールの『気狂いピエロ』を観たことをきっかけに映画の道を志し、18歳の時に自ら主演を務めた短編『街をぶっ飛ばせ』(1968)を初監督。その後ニューヨークにわたり、『部屋』(1972)や初めての長編『ホテル・モンタレー』(1972)などを手掛ける。ベルギーに戻って撮った『私、あなた、彼、彼女』(1974)は批評家の間で高い評価を得た。25歳のときに平凡な主婦の日常を描いた3時間を超える『ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地 ジャンヌ・ディエルマン』を発表、世界中に衝撃を与える。その後もミュージカル・コメディ『ゴールデン・エイティーズ』(1986)や『囚われの女』(1999)、『オルメイヤーの阿房宮』(2011)などの文芸作、『東から』(1993)、『南』(1999)、『向こう側から』(2002)といったドキュメンタリーなど、ジャンル、形式にこだわらず数々の意欲作を世に放つ。母親との対話を中心としたドキュメンタリー『No Home Movie』(2015)を編集中に母が逝去。同作完成後の2015年10月、パリで自ら命を絶った。

主催:マーメイドフィルム
配給:コピアポア・フィルム
宣伝:VALERIA
後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本