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WANDA/ワンダ WANDA

上映中~9月29日(木)

© 映画「WANDA」オフィシャルサイト

日時

上映中~9月29日(木)

料金

一般¥1,900/シニア(60歳以上)¥1,200/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳)¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/障がい者割引¥1,000/UPLINK会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINKユース会員(22歳以下)いつでも¥1,000

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1970年ヴェネツィア国際映画祭最優秀外国映画賞
2017年アメリカ国立フィルム登録簿永久保存

70年代アメリカ・インディペンデント映画の道筋を開いた奇跡の映画

1970年ヴェネツィア国際映画祭最優秀外国映画賞を受賞したアメリカ映画であり、1971年カンヌ国際映画祭で上映された唯一のアメリカ映画として、その名声とは裏腹にアメリカ本国ではほぼ黙殺された、最も観られていない、しかしおそらく最も重要な映画だ。この映画の精妙さは、人伝てによって広まり、フランスの偉大な小説家・監督のマルグリット・デュラスはこの映画を「奇跡」と称賛し、ローデンの演技を「神聖で、力強く、暴力的で、深遠だ」と驚嘆する。本作を公開するためなら何を差し出してもいいと褒めたたえる彼女は、「本作をいつか配給することを夢見ている」と映画批評誌『カイエ・デュ・シネマ』で語った。その後もローデンが監督した唯一の本作は、同世代の女優や映画監督たちに多大な影響を与え続けながらも、長い間、観ることの出来ない伝説的作品として認知される。

崖っぷちを彷徨う女の姿を描いた『ワンダ』は、
行き止まりで終わる人生を漂流するロードムーヴィー。

長年、女性らしさに縛られ、女性らしさを売り物にしてきたローデンは、30歳を過ぎた頃、自分のアイデンティティや目標を見出せない従順な女性像に疑問を持つ。『ワンダ』の製作はすなわち彼女の独立宣言であった。「カザンの妻」と呼ばれることから、他人に書かれた役を演じることから、彼女自身が辛うじて逃れてきた生き方を実証しているのがこの本作だ。80年、ローデンは乳がんにより48歳の短い生涯を終えるが、その芳声は次第に高まり、現在では、デュラス、スコセッシ、ユペールは元より、カンヌ映画祭常連のダルデンヌ監督兄弟、カルト映画の巨匠ジョン・ウォーターズ、現代アメリカ映画の最重要作家ケリー・ライカート、ガーリーカルチャーの旗手ソフィア・コッポラなど世界の名だたる映画作家やアーティストが口々に尊敬の念を込めて「失われた傑作」と評価し、ローデンを不世出の作家として敬意を表している。また制作当時から親交が深かったジョン・レノンとオノ・ヨーコも本作を賞賛しており、人気TVショー「マイク・ダグラス・ショウ」では一緒に出演も果たしている。「私は洗練された映画が大嫌いなの」と言い放つローデンの荒削りな美学で骨の髄まで削ぎ落とされた本作には、その後の数多くのインディペンデント映画で用いられるスタイルが見て取れる。常に動いているカメラワーク、無名のロケーション、奇抜さや奇妙なキャラクターを求める姿勢など、このスタイルを駆使した最初の女性監督による映画だ。“インディペンデント映画の父”と称されるジョン・カサヴェテスは「『ワンダ』は私のお気に入りの作品。ローデンは正真正銘の映画作家だ」と高く評価している。偉大なエリア・カザンには才能豊かな妻がいて、1本の映画を創出した。それがこの傑作である。制作当時は、見向きもされなかった映画が、近年これほどまでに愛されるようになった。2022年、日本初のスクリーン上映。自由を讃えるワンダの“どこでもない場所から、どこでもない場所への旅”が始まる…。

【STORY】

哀しいほど滑稽な逃避行が始まる—

ペンシルベニア州東部の田舎に住むワンダ・ゴロンスキーは、単純で世間知らず、自分の居場所を見つけられずにいる主婦。彼女は炭鉱で石炭を拾い集めている知人の老人を訪ね、お金を貸してほしいと頼む。彼女はバスに乗り、夫との離婚審問に遅れて出廷した。育児放棄を追及されていた彼女はヘアカーラーをつけたまま、裁判官に夫が起こした離婚訴訟に異議を唱えないこと、二人の子供の親権を夫に与えることを裁判官に伝える。裁判所を後にした彼女は、2日間働いた縫製工場に立ち寄ると今後も働けないかボスに尋ねる。しかし、「お前は作業がノロすぎて使いものにならないから必要ない」と告げられる。街を漂うワンダは、バーでビールをおごってくれた客とモーテルへ。 ワンダが寝ている間、逃げるように部屋を出ようとしたその男の車に無理矢理乗り込む。だが、途中ソフトクリームを買いに降りたところで逃げられてしまう。ワンダはショッピングモールを歩き回り、地元の古めかしい映画館で映画を観る。眠りについてしまった彼女は掃除夫の少年に起こされが、バッグの財布からはわずかに残していた現金が消えていた。またフラフラと夜の街を彷徨い歩き、一軒の寂れたバーを見つける。カウンターの男が慌てた様子でもう閉店だと断るがトイレに入ってしまうワンダ。戻ってきた彼女は、哀れな自分をアピールして一杯のビールを要求する。全然手慣れていない様子で仕方なくビールを指し出す男。その足元には店主の死体が転がっていた。そうとも知らずにワンダはビールを飲んで、今度は櫛を貸してくれと要求する始末。Mr.デニスと名乗るその男と店を出ると、安いダイナーでスパゲッティをご馳走になり、二人は近くのモーテルへ。翌朝、Mr.デニスがバー強盗の新聞記事を彼女に読ませたとき、ワンダも彼が強盗の男だと気づく。しかし、そんなことを気にするより、彼と一緒にいた方が楽だと悟るワンダ…なぜか離れられない二人の旅が始まる。

『WANDA/ワンダ』(1970年/アメリカ/カラー/103分/モノラル/1.37:1/DCP/原題:WANDA)
監督・脚本:バーバラ・ローデン
出演:バーバラ・ローデン、マイケル・ヒギンズ、ドロシー・シュペネス、ピーター・シュペネス、ジェローム・ティアー 
撮影・編集:ニコラス・T・プロフェレス
照明・音響:ラース・ヘドマン
制作協力:エリア・カザン
日本語字幕:上條葉月
提供:クレプスキュール フィルム、シネマ・サクセション
配給:クレプスキュール フィルム