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地下室のヘンな穴 Incredible But True

上映中~~9月29日(木)

© ATELIER DE PRODUCTION - ARTE FRANCE CINÉMA - VERSUS PRODUCTION – 2022

日時

上映中~~9月29日(木)

料金

一般¥1,900/シニア(60歳以上)¥1,200/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳) ¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/障がい者割引¥1,000/UPLINK会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINKユース会員(22歳以下)いつでも¥1,000

詳細 DETAIL

「あなたは入ってみますか?」

【12時間進んで、3日分だけ若返る】

摩訶不思議な穴によって人生が一変していく夫婦の
74分間の〈世にも奇妙な物語〉

『パラサイト』の地下よりもっと奇妙(VARIETY)
チャーリー・カウフマンやスパイク・ジョーンズ、初期のウディ・アレンに通じる(THE GUARDIAN)

映画や小説などのフィクションには、しばしば“穴”が印象的なモチーフとして登場する。例えば、ルイス・キャロル作「不思議の国のアリス」の導入部で白ウサギを追いかけた少女アリスは、穴に落っこちて不条理な別世界にさまよい込んだ。悪ガキ集団のお宝探しを描いた『グーニーズ』では波瀾万丈の冒険の入り口となり、『ショーシャンクの空に』における穴はかけがえのない自由への出口だった。とはいえ、その先に何があるかわからない穴を無闇やたらにくぐるのは禁物。スパイク・ジョーンズ監督の『マルコヴィッチの穴』のように、誰かの頭の中につながっているかもしれないのだ!

第72回ベルリン国際映画祭に正式出品された『地下室のヘンな穴』は、上記の“穴”映画の系譜に新たに名を連ねる突然変異のごときフランス映画だ。見た目は何の変哲もないのに、ひとたび中に入ると人生が⼀変してしまう謎の穴。身も心もその穴にハマって翻弄される夫婦の世にも奇妙な物語を映像化した本作は、本国で公開されるや『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』『トップガン マーヴェリック』というハリウッド超大作に次ぐ初登場3位、フランス映画ではNo.1の大ヒットを記録。“フランスのスパイク・ジョーンズ”の異名をとるカンタン・デュピュー監督のもとに同国の人気俳優たちが集い、摩訶不思議で底知れない奥深さも感じさせる哲学的シュール・コメディである。

フレンチの鬼才のもとに演技巧者4人が集結!
摩訶不思議なのに奥深く、共感も誘う唯⼀無⼆の映像世界

すでにフランス映画界でオンリーワンの地位を築いているカンタン・デュピュー監督は、意思を持ったタイヤが殺人事件を引き起こす『ラバー』、鹿革ジャケットの魔力に取りつかれた男の狂気を描いた『ディアスキン 鹿革の殺人鬼』などの異色作、怪作で知られる鬼才。浮世離れした突飛なアイデアで驚きと笑いを呼び起こしながら、人生や人間の普遍的な本質を巧みにあぶり出す映像世界は、⼀度覗き込んだらクセになる独創性に満ちあふれている。

そんなデュピュー監督がこの最新作で創造したのは、誰もがポカンとせずにいられないヘンな“穴”。ごく平凡な夫婦であるアランとマリーは、「時間軸が半日進み、肉体が3日分若返る」というその穴にハマったせいで、胸の奥底に封印していた欲望、衝動を呼び覚まされていく。ナンセンスなまでにバカバカしい設定が、あれよあれよという間に現実味を獲得していくストーリー展開に引き込まれずにいられない。しかも若さと老い、男女の性(ジェンダー/セックス)をめぐる風刺が盛り込まれたこの悲喜劇は、困ったことに観る者の共感さえも誘うのだ!なぜかアランの行く手に出没する“ネコ”の助演、穴の不思議な作用を証明するアイテム“腐ったリンゴ”にも目を奪われる。

おかしくも切実な悩みを抱えた夫婦アランとマリーに扮するのは、デュピュー監督作品の常連俳優アラン・シャバと、『ジュリアン』『ふたつの部屋、ふたりの暮らし』のレア・ドリュッケール。さらに、アランの上司で友人でもあるジェラール役のブノワ・マジメルの怪演も見逃せない。かつて希代の美青年として一世を風靡し、近年はぐっと円熟味を増したスター俳優が持ち前のイケメンぶりをかなぐり捨て、“男らしさ”を追い求めてまさかの肉体改造に熱中するジェラールの滑稽さと悲哀を体現する。ジェラールの恋人ジャンヌを演じるのは、『彼は秘密の女ともだち』『海辺の家族たち』のアナイス・ドゥムースティエ。芸達者な4人の軽妙にして珍妙なアンサンブルが、あらゆる観客の想像力を刺激してやまない“穴”にまつわる奇想天外な人生模様に味わい深さを添えている。

【STORY】

マイホームを物色中の中年夫婦アランとマリーが、緑豊かな郊外に建つモダニズム風⼀軒家の下見に訪れた。すると案内役の不動産業者は、購入すべきか迷うアランとマリーにとっておきのセールスポイントを伝える。地下室にぽっかり空いた“穴”に入ると「12時間進んで、3日若返る」というのだ。やがて夫婦は半信半疑でその新居に引っ越すが、この世のものとは思えない穴の虜になったマリーは、 来る日も来る日も穴の中に身を投じるようになり、保険会社に勤めるアランとの生活サイクルも感情もすれ違っていく。はたして、この謎だらけの穴がもたらすのは幸せか、それとも破滅か。穴のせいで⼈生が激変してしまった夫婦がたどる後戻り不可能な運命とは……。

『地下室のヘンな穴』(2022年/フランス・ベルギー/仏語・日本語/74分/シネスコ/カラー/5.1ch/英題:Incredible But True)
監督・脚本:カンタン・デュピュー
出演:アラン・シャバ、レア・ドリュッケール、ブノワ・マジメル、アナイス・ドゥムースティエ
配給:ロングライド