日時
上映中~6月22日(木)
料金
一般¥1,900/シニア(60歳以上)¥1,300/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳)¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/障がい者割引¥1,000/UPLINK会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINKユース会員(22歳以下)いつでも¥1,000
上映中~6月22日(木)
一般¥1,900/シニア(60歳以上)¥1,300/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳)¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/障がい者割引¥1,000/UPLINK会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINKユース会員(22歳以下)いつでも¥1,000
© Chantal Akerman Foundation
アケルマン自身が演じる名もなき若い女がひとり、部屋で家具を動かし手紙を書き、裸で砂糖をむさぼる。部屋を出た彼女はトラック運転手と行動を共にし、訪れた家で女性と愛を交わす……。撮影時24歳だったアケルマンによる“私”のポートレイト。殺風景な空間と単調な行為が彼女の閉塞感や孤独を際立たせ、激しく身体を重ね合うことで悦びがドラマティックに表現される。観客は彼女の道程を緊張感を持って見つめることによって、その“時間”を彼女と共有する。
監督・脚本:シャンタル・アケルマン
撮影:ベネディクト・デルサル
出演:シャンタル・アケルマン、クレール・ワティオン、ニエル・アレストリュプ
© Chantal Akerman Foundation
ジャンヌは思春期の息子と共にブリュッセルのアパートで暮らしている。湯を沸かし、ジャガイモの皮を剥き、買い物に出かけ、“平凡な”暮らしを続けているジャンヌだったが……。アパートの部屋に定点観測のごとく設置されたカメラによって映し出される反復する日常。その執拗なまでの描写は我々に時間の経過を体感させ、反日常の訪れを予感させる恐ろしい空間を作り出す。主婦のフラストレーションとディティールを汲み取った傑作。ジャンヌを演じるのは『去年マリエンバートで』(61)『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』(72)のデルフィーヌ・セイリグ。
監督・脚本:シャンタル・アケルマン
撮影:バベット・マンゴルト
出演:デルフィーヌ・セイリグ、ジャン・ドゥコルト、ジャック・ドニオル=ヴァルクローズ
© Chantal Akerman Foundation
最新作のプロモーションのためにヨーロッパの都市を転々とする女流映画監督を描く、アケルマンの鋭い人間観察力が光る一本。教師、母親、母親の友人らとの接触を挟みながら、常に孤独に彷徨い歩く主人公アンナの姿と、日常に溶け込みはしない断片的な空間と時間とを通して、アイデンティティや幸福の本質が絶妙な構成で描き出されている。『パリ・テキサス』(84)のオーロール・クレマン、『キャバレー』(72)のヘルムート・グリーム、『フェリーニのアマルコルド』(73)のマガリ・ノエルとアケルマン作品にしては豪華なキャストが揃う。
監督・脚本:シャンタル・アケルマン
撮影:ジャン・パンゼ
出演:オーロール・クレマン、ヘルムート・グリーム、マガリ・ノエル
© Corbis Sygma – Marthe Lemelle
祖母とメイド、そして恋人のアリアーヌとともに豪邸に住んでいるシモンは、アリアーヌが美しい女性アンドレと関係を持っていると信じ込み、次第に強迫観念に駆られていく。マルセル・プルーストの「失われたときを求めて」の第五篇、「囚われの女」の大胆で自由な映像化。嫉妬に苛まれ、愛の苦悩に拘束される虜囚の境地をアケルマンは洗練された表現で描写する。ジャン=リュック・ゴダールの『軽蔑』(63)やアルフレッド・ヒッチコックの『めまい』(58)をも想起させるこの傑作は公開年の「カイエ・デュ・シネマ」ベストテンで2位に選ばれた。
監督・脚本:シャンタル・アケルマン
撮影:サビーヌ・ランスラン
出演:スタニスラス・メラール、シルヴィ・テスチュー、オリヴィエ・ボナミ
© Chantal Akerman Foundation
東南アジア奥地の河畔にある小屋で暮らす白人の男オルメイヤー。彼は現地の女性との間に生まれた娘を溺愛し外国人学校に入れるが、娘は父親に反発するように放浪を重ねていく……。『地獄の黙示録』(79)のもとになった「闇の奥」で知られるイギリスの作家ジョゼフ・コンラッドの処女小説を脚色。時代も場所も明かされず抽象化された設定の中で、狂気と破滅の物語が繰り広げられる。原作の持つ実存主義と家父長制という重苦しいテーマを孕みながらも、アジアの街並みを自在に歩き回る娘を横移動で捉えたカメラが素晴らしく、幻想的なまでに美しい。
監督・脚本:シャンタル・アケルマン
撮影:レイモンド・フロモン
出演:スタニスラス・メラール、マルク・バルベ、オーロラ・マリオン
Collections CINEMATEK – ©Chantal Akerman Foundation
当時18歳だったアケルマンが、ブリュッセル映画学校の卒業制作として初めて監督、主演を務めた記念すべき処女作。花束を手にアパートの階段を駆け上がったひとりの女。鼻歌を口ずさみながらパスタをつくって食べ、調理器具をばらまき、洗剤をまき散らし、マヨネーズを浴びる。狭いキッチンで縦横無尽に暴れ回った彼女の支離滅裂な行動は、驚くべき事態で幕を閉じる。その後の反逆的な作品群の原点とも言える破壊的なエネルギーに満ちた、あまりに瑞々しい短編。
監督:シャンタル・アケルマン
撮影:ルネ・フルシュター
出演:シャンタル・アケルマン
Collections CINEMATEK – ©Fondation Chantal Akerman
路地、大通りを走る車、駅のホームで電車を待つ人々、地下道……1970年代ニューヨークの荒涼とした街並みに、母が綴った手紙を読むアケルマン自身の声がかぶさる。固定ショットやトラベリングで映し出される公共のロケーションと、時折車の音に掻き消されながらも朗読される、愛情溢れる言葉の融合。都会の寂しさと、遠く離れた家族の距離がエレガントな情感を持って横たわる、映画という〈手紙〉。
監督:シャンタル・アケルマン
撮影:バーベット・マンゴルト、リュック・ベナムー
Collections CINEMATEK – ©Fondation Chantal Akerman
ブリュッセルの暑い夜、眠りにつくことのできない人々。ある者は恋人の腕のなかに飛び込み、ある者は街に繰り出し、夫婦は語らい、そしてある者はバーでダンスを踊る……。官能的な熱を帯びた一晩の中で連結していく、数々の出会いや別れ。詩的な青色の夜を描き出す撮影監督の一人に、ジャック・リヴェット監督『北の橋』(81)、80年代のジャン=リュック・ゴダール監督作品、近年ではレオス・カラックス監督『アネット』(2021)を手掛けた名女性キャメラマン、カロリーヌ・シャンプティエ。
監督:シャンタル・アケルマン
撮影:カロリーヌ・シャンプティエ、フランソワ・エルナンデス、マチュー・シフマン
出演:オーロール・クレマン、チェッキー・カリョ、ヴェロニク・シルヴェール、ヤン・デクレール
© Jean Ber – Fonda&on Chantal Akerman
美容院やカフェが並ぶパリのカラフルなブティック街を舞台に、そこで働く従業員たち、客たちが恋模様を歌い上げるミュージカル。パステルカラーの衣装に身を包んだ登場人物たちが歌い踊るロマンティックな浮遊感と、愛に対するアケルマンの容赦ない視線が巧みにバランスされている。シナリオにはフランソワ・トリュフォー監督作品に欠かせないジャン・グリュオー、アンドレ・テシネ監督『ブロンテ姉妹』(79)やジャック・リヴェット監督『美しき諍い女』(91)を手掛けたパスカル・ボニゼールと名脚本家が参加した。
監督:シャンタル・アケルマン
脚本:シャンタル・アケルマン、ジャン・グリュオー、レオラ・バリッシュ、ヘンリー・ビーン、パスカル・ボニゼール
撮影:ジルベルト・アゼヴェード、リュック・ベナムー
出演:デルフィーヌ・セイリグ、ミリアム・ボワイエ、ジョン・ベリー、リオ
Collections CINEMATEK – ©Fondation Chantal Akerman
ポーランドやウクライナ、東ドイツといった、ソ連崩壊後の旧共産主義国の都市とそこで暮らす人々の姿をとらえたドキュメンタリー。ナレーションや場所の名前をも排して、アケルマンは時折市井の人々の家庭の様子を散りばめながら、果てしない距離や文化情勢、生活様式を記録した。洞窟のような駅のホーム、カメラを見つめる人々の表情、寒空……。透徹した眼差しがその場所で確かに流れる時間と観客を近づけ、好奇心を駆り立て、映像そのものが静かに語りはじめる
監督・脚本:シャンタル・アケルマン
撮影:レイモンド・フロモン、ベルナール・デルヴィル
1950年6月6日、ベルギーのブリュッセルに生まれる。両親は二人ともユダヤ人で、母方の祖父母はポーランドの強制収容所で死去。母親は生き残ったのだという。女性でありユダヤ人でありバイセクシャルでもあったアケルマンは15歳の時にジャン=リュック・ゴダールの『気狂いピエロ』を観たことをきっかけに映画の道を志し、18歳の時に自ら主演を務めた短編『街をぶっ飛ばせ』(1968)を初監督。その後ニューヨークにわたり、『部屋』(1972)や初めての長編『ホテル・モンタレー』(1972)などを手掛ける。ベルギーに戻って撮った『私、あなた、彼、彼女』(1974)は批評家の間で高い評価を得た。25歳のときに平凡な主婦の日常を描いた3時間を超える『ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地ジャンヌ・ディエルマン』を発表、世界中に衝撃を与える。その後もミュージカル・コメディ『ゴールデン・エイティーズ』(1986)や『囚われの女』(1999)、『オルメイヤーの阿房宮』(2011)などの文芸作、『東から』(1993)、『南』(1999)、『向こう側から』(2002)といったドキュメンタリーなど、ジャンル、形式にこだわらず数々の意欲作を世に放つ。母親との対話を中心としたドキュメンタリー『No Home Movie』(2015)を編集中に母が逝去。同作完成後の2015年10月、パリで自ら命を絶った。
主催:マーメイドフィルム
配給:マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム
宣伝:VALERIA