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天空のサマン

上映中~8月10日(木)

日時

上映中~8月10日(木)

料金

一般¥1,900/シニア(60歳以上)¥1,300/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳)¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/障がい者割引¥1,000/UPLINK会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINKユース会員(22歳以下)いつでも¥1,000

リンク

詳細 DETAIL

上映後トークショー開催

7月21日(金)19:25の回 上映終了後
登壇者:愛新覚羅ゆうはん(作家・風水師)、金 大偉(監督)

7月22日(土)11:30の回 上映終了後
登壇者:セーンジャー(モンゴル・馬頭琴奏者)、金 大偉(監督)

7月23日(日)11:30の回 上映終了後
登壇者:黒川五郎(哲学者)、金 大偉(監督)

7月28日(金)19:50の回 上映終了後
登壇者:金 大偉(監督)

7月29日(土)11:40の回 上映終了後
登壇者:赤坂真理(作家)、金 大偉(監督)

7月30日(日)11:30の回 上映終了後
登壇者:大倉正之助(能楽師・大鼓奏者/文化庁日本遺産大使/重要無形文化財総合指定保持者)、金 大偉(監督)

8月5日(土)18:10の回 上映終了後
登壇者:中村正人(Forbes JAPAN オフィシャルコラムニスト)、金 大偉(監督)

8月6日(日)10:45の回 上映終了後
登壇者:金 大偉(監督)

※敬称略 ※登壇者は予告なく変更になる場合がございます。予めご了承ください。


サマン太鼓のリズムが人類の原点の記憶を呼び覚ます!

この作品は、満洲人の父と日本人の母を持ち、音楽家でもある監督自身がカメラを手に、失われゆく貴重な満洲文化の伝承に奮闘する人々の姿を追い求め、中国各地を旅する。
壮大な自然、儀式でサマンが天に祈る姿、神聖な境界へと導く太鼓のリズム。
皆が感謝に満ちる瞬間。生き生きとした神歌や踊り。
受け継がれた精神を語る穏やかな表情も映し出す。
そのサマン太鼓の響きが人類の原点にある記憶を呼び覚ましてくれるのだ。

時代は「天地人」を繋げる力を必要としている

混沌とした現在社会において、シャーマニズムは、人間の霊性を維持し、その見えない世界において新しい知恵となり得るのではないか。
時代は「天地人」を繋げる力を必要としている。自己のアイデンティティーを知り、自民族の文化の魂や精神を探求することが、あらゆる文化の理解を深める上で非常に重要なことであると考えられる。
また、この映画は、それぞれの固有の文化を後世に遺すため、伝承や継続に関わるすべての民族世界への警鐘となり得るかも知れない。

●満洲サマンの最後の祈りが見えてくる

金 大偉(監督、音楽、撮影、製作)

本作品は、前作『ロスト マンチュリア サマン』(2016)に引き続き、現存する満洲サマンたちの思いや考え方について記録し、再び彼らが天神へ祈るために行った貴重な儀式の模様をカメラに収めることができた。その代々受け継がれてきた伝統儀式は、満洲族の魂や精神であり、自己再生へのアプローチであり、失われゆく文化を守るための意志でもあったに違いない…と思った。私はできる限り、その儀式の流れを追って撮影し、その記録を映画に納めていった。

満洲の伝統文化を求めて、約9年間の時間を経て、様々な困難を乗り越えて、ついにこの映画が完成した。大きな視点から見れば、私の内面も大きく変化したのであろう。失われゆく満洲サマンの世界や失われゆく満洲語の世界において、もう二度と撮れない貴重な映像を撮影出来たことによって、自分の存在意味及び民族の存在意味と在り方が段々見えてくる。
また映画の中で使用されている音楽は、現地でサマンたちの神歌や子守唄のパーツを録音し、再構成や再作曲によって新しい楽曲が生まれた。ある意味で未来へと繋がり、文化の伝承作業を果たすことが出来たと思う。

こうして、失われゆく満洲シャーマニズムを辿る旅を通して、映画の制作全体を通して、作品の中に、私の思いだけではなく、参加した全ての人々の思いをも込められている。作品を制作すること自身は、一種の共同体の融合であり、調和と共存と共生の行為であり、多くの異文化を理解するための重要な手掛かりであるとも言える。
カオスと化した先の見えないこの時代に、満洲サマン文化だけではなく、ユーラシア大陸全体の視野からみれば、サマンの伝統文化が変容し、失われつつあるのだ。それでも微かに、天と人間を繋ぐサマンの力が残っているようにも見える。天空の光が煌めく中において、人々が幸福のため、天空の神々や先祖から啓示を受ける時に、満洲サマンの最後の祈りが見えてくる。あるいは最後の魂の叫びが聞こえてくる。

【STORY】

中国史上最も広大な領土を誇った最後の王朝である清帝国。
ベルトルッチ監督の映画『ラスト・エンペラー』では、絢爛豪華な宮廷文化が描かれ、強いイメージを残した。
この清帝国を築いたのが満洲族であり、現在の人口は約1.100 万人。
消滅の危機にある文化遺産の一つとも言われる満洲語をネイティブで話せる人は、もはや10数名となった。
また彼らの信仰であるシャーマニズムの伝統、サマンの儀式や祭りも、限られた僅かな村に残るばかりとなった。
そこでは、サマンたちが次世代へ繋ぐ祈りが行われている。

『天空のサマン』(2023年/日本/118分/満洲語・中国語/字幕:日本語・英語・中国語・フランス語)
監督・音楽・撮影・構成・製作:金 大偉
企画・制作・配給 : TAII Project