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ロバート・アルトマン傑作選

上映中~7月13日(木)

日時

上映中~7月13日(木)

料金

一般¥1,900/シニア(60歳以上)¥1,300/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳)¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/障がい者割引¥1,000/UPLINK会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINKユース会員(22歳以下)いつでも¥1,000

詳細 DETAIL

アメリカ映画界最高のアウトロー監督による
ふたつの知られざる女性映画の傑作+代表作を公開。

映画界きっての異端児、ロバート・アルトマン。

カンヌをはじめ数々の国際映画祭を制覇し、ユニークな群像劇のスタイルを確立、ポール・トーマス・アンダーソンらのちの映像作家に多大な影響を与え続ける。一方で超大国アメリカや固定観念を徹底的にコケにし、度重なる興行的失敗もあってハリウッドを半ば追放され、天国と地獄を何度も味わった。そんな彼の手がけた、女性が主演の知られざるふたつの傑作と、今年公開から50周年を迎えた1970年代アメリカ映画を代表する名作を公開。一般常識や社会通念を軽やかに飛び越えるアルトマンの世界へようこそ。


【上映作品】

『雨にぬれた舗道』未配信・未ソフト化(1969年/107分/米国、カナダ/カラー/英題:That Cold Day in the Park)
©MCMLXIX Commonwealth United

ブルジョワの婦人が、自宅に隣接する公園のベンチでずぶ濡れになっている見知らぬ青年を招き入れて、風呂に入れ食事を与えたことがきっかけとなり、二人の奇妙な関係が始まる・・・・・・
のちの『イメージズ』『三人の女』と併せて、女性とパーソナリティ障害の関係を探求したスリラー/ホラー/幻想映画的三部作を構成する一編。原作は、ハリウッド映画の子役から作家に転身したリチャード・マイルズの長編小説。この初期作品で早くもアルトマンは、女性の強迫観念や性的欲求不満を前面に出した主題の選択のみならず、画作り(ハンガリー出身の撮影監督ラズロ・コヴァックスが起用された)の面でも大胆な試みをおこなっている。サンディ・デニスの繊細な演技も素晴らしい。

脚本:ギリアン・フリーマン、レオン・ミレル
撮影:ラズロ・コヴァックス
音楽:ジョニー・マンデル
出演:サンディ・デニス、マイケル・バーンズ、スザンヌ・ベントン、ルアナ・アンダース


『イメージズ』劇場初公開(1972年/101分/英国、アイルランド、米国/カラー/英題:Robert Altman’s Images)

ロンドン在住の女性児童文学作家が、ある晩正体不明の女からの不気味な電話を受けたのをきっかけに、幻聴や幻視に悩まされ始め、周囲の男性たちのアイデンティティが区別できなくなり、ついにはドッペルゲンガーと対峙するにいたる。
オリジナル脚本はアルトマン自身と主演女優ヨークの共作。劇中で読み上げられる童話も、彼女が書いた作品である。アルトマンが当時取り組んでいたジャンル映画批評からいったん退いて、複雑な構成を通じて狂気の主題を探求した、さまざまな解釈が可能な芸術映画。ヨークの演技(カンヌ国際映画祭最優秀女優賞を受賞)、ヴィルモス・ジグモンドの撮影、ジョン・ウィリアムズとツトム・ヤマシタの音楽も賞賛された。

脚本:ロバート・アルトマン、スザンナ・ヨーク
撮影:ヴィルモス・ジグモンド
音楽:ジョン・ウィリアムズ、ツトム・ヤマシタ
出演:スザンナ・ヨーク、ルネ・オーベルジョノワ、マルセル・ボズフィ


『ロング・グッドバイ』公開50周年記念(1973年/112分/米国/カラー/英題:The Long Goodbye)

©1973 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved

レイモンド・チャンドラー小説の私立探偵マーロウを現代によみがえらせた、寓話的フィルム・ノワール。
脚本はかつてマーロウもの『三つ数えろ』(ハワード・ホークス、46)を手がけた女性SF作家リー・ブラケット。「生命の尊さなど一顧だにされず、友情や義理のたぐいが無意味なものとなった自分本位の世の中でさまよう、道義をわきまえた寛大な男」(アルトマン)の物語である。原作からかけ離れた探偵像と結末の大改変に公開当時は非難轟々だったが、歳月を経てカルト映画に。グールド演じる飄々とした可笑しみのある猫好きのマーロウ、探偵を取り巻く個性的な面々、ジグモンドの冒険心溢れる撮影、奇抜で魅力的な楽曲使用など、繰り返し観たくなる魔術的作品。

脚本:リー・ブラケット
撮影:ヴィルモス・ジグモンド
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:エリオット・グールド、ニーナ・ヴァン・パラント、スターリング・ヘイドン、マーク・ライデル、ヘンリー・ギブソン


ロバート・アルトマン Robert Altman

1925年2月20日、米ミズーリ州カンザスシティ生まれ。ウェントワース・ミリタリー・アカデミー&カレッジを卒業後、18歳でアメリカ陸軍航空軍に入隊。第二次大戦中はボルネオおよびオランダ領東インドでB-24の副操縦士として50回以上の爆撃任務に就く。
製作者との軋轢や作品内にヴェトナム反戦姿勢を怯まず打ち出していたことなどが災いして、映画監督としては不遇をかこっていたが、長編第四作にあたる反戦喜劇『M★A★S★H』(70)が大ヒット、カンヌ国際映画祭でパルムドールも獲得し、40代半ばにしてようやく映画界の第一線に躍り出る。

以後、70年代はハリウッド的ジャンル映画の批評的見直しの試みと並行して、『ナッシュビル』(75)のような規格外の大胆かつきわめて政治的な群像劇を放ち、国内外で賞賛された。この時代の作品は、いずれも主題面のみならず演出・撮影・録音など技法面においても型破りで、斬新な語り口が際立つものだった。
70年代すなわち「ニュー・ハリウッド」時代が終わり、興行的失敗作も続いてハリウッドから距離を置いていた80年代には、舞台劇の翻案を中心として主にミニマルな実験的映画作りを試みている。
ところが90年代に入って、多数のスター俳優をカメオ出演させた辛辣なハリウッド諷刺劇『ザ・プレイヤー』(92)がカンヌ国際映画祭で最優秀監督賞を獲得するなど高く評価され、続くレイモンド・カーヴァーのいくつかの短編小説に基づく群像劇『ショート・カッツ』(93)もヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞して、本格的に復活。

その後も創作意欲は衰えず、遺作『今宵、フィッツジェラルド劇場で』(2006)まで、映画のみならずTVや舞台の演出も手がけ続けた。2005年にアカデミー名誉賞を受賞。2006年11月20日、カリフォルニア州ロサンジェルスにて死去。


『ロバート・アルトマン傑作選』
主催:マーメイドフィルム
配給:コピアポア・フィルム
宣伝:VALERIA