日時
上映中~9月21日(木) ※休映日あり
料金
一般¥1,900/シニア(60歳以上)¥1,300/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳)¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/障がい者割引¥1,000/UPLINK会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINKユース会員(22歳以下)いつでも¥1,000
上映中~9月21日(木) ※休映日あり
一般¥1,900/シニア(60歳以上)¥1,300/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳)¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/障がい者割引¥1,000/UPLINK会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINKユース会員(22歳以下)いつでも¥1,000
第75回カンヌ国際映画祭で韓国映画として初めて「批評家週間」のクロージング作品に選定された本作は、第42回アミアン国際映画祭で3冠、第26回ファンタジア国際映画祭で2 冠を獲得。第23回東京フィルメックスでも大きな反響を呼び、審査員特別賞を受賞した。『パラサイト 半地下の家族』『はちどり』に続き、まさしく今観るべき社会派ヒューマン・ドラマの登場である。
2017年、韓国の全州(チョンジュ)市で衝撃的な事件が起こった。現場実習生として大手通信会社のコールセンターで働き始めた現役高校生が、わずか3ヵ月後に自ら命を絶ったのだ。この悲劇的な実話に基づく『あしたの少女』は、巨匠イ・チャンドンがプロデューサーを務めた『私の少女』で鮮烈な長編デビューを飾ったチョン・ジュリ監督の待望の最新作だ。
8年ぶりにメガホンを執ったチョン監督は、ダンス好きの明るい少女が想像を絶する過酷な労働環境に疲弊し、ついには自死へと追いやられていく様を、迫真のリアリティをこめて描ききった。無垢な青少年を消耗品のようにこき使う企業の実態をあぶり出した本作は、日本よりもはるかに競争が厳しいと言われる韓国の社会システムの歪みをも告発する。社会の未来を担う存在であり、本来は守られるべき子供や若者が大人たちに搾取されるという理不尽な問題は、私たち日本人にとっても決して他人事ではない。
本作は2部構成になっている。ソヒが実習生としてコールセンターで働く前半のパートは、物語のベースになった実際の事件を忠実に再現。
もう1人の主人公、刑事ユジンが登場する後半はチョン監督の創作で、韓国の労働問題を追及してきたジャーナリストらに触発され、ユジンのキャラクターを構築したという。ひとつの事件をふたつの視点で描くという着想からしてユニークだが、ユジンがソヒの足取りを追体験していく捜査のプロセスは、ふたつの異なる時間軸が共鳴するような感覚を観る者にもたらす。それを象徴するある印象的なシーンの“光”をモチーフにした演出は、観客それぞれの想像力を刺激せずにはいられない。
事件の真相究明に執念を燃やすユジンに扮するのは、日本映画やハリウッド映画でも活躍し、是枝裕和監督作品『ベイビー・ブローカー』も記憶に新しいペ・ドゥナ。前作『私の少女』でタッグを組んだチョン監督は、当初からペ・ドゥナの起用を想定して脚本を執筆したと語っている。一方、ソヒ役にはフレッシュな新進女優キム・シウンが抜擢され、競争社会の底辺であえぎながら懸命に生きようとした少女の心情をこのうえなくリアルに表現した。
なぜ、ごく普通の高校生が自死を選ばなくてはならなかったのか。どうして、周囲の大人たちは救いの手を差し伸べなかったのか。社会の今を鋭く見すえ、これらの問いを投げかける本作は、英語題の『Next Sohee(次のソヒ)』が示す通り、ソヒのような犠牲者を二度と生み出すべきではないという願いをこめて作られた。
ソヒの“生きた証”がスクリーンに映し出されるエンディングは、この映画にきらめくかすかな希望として、あらゆる観客の胸を打つに違いない。
全州市在住の女子高校生ソヒが、担任教師から大手通信会社の下請けのコールセンター運営会社を紹介され、実習生として働き始める。
しかし会社は顧客の解約を阻止するために従業員同士の競争をあおり、契約書で保証された成果給も支払おうとしなかった。
そんなある日、指導役の若い男性チーム長が自殺したことにショックを受けたソヒは、自らも孤立して神経をすり減らしていく。
やがて凍てつく真冬の貯水池でソヒの遺体が発見され、捜査を担当する刑事ユジンは、彼女を自死へと追いやった会社の労働環境を調べ、いくつもの根深い問題をはらんだ真実に迫っていくのだった……。
『あしたの少女』(2022/韓国/カラー/ビスタ/5.1ch/138分/韓国語/PG12)
監督・脚本:チョン・ジュリ
出演:ペ・ドゥナ、キム・シウン、チョン・フェリン、カン・ヒョンオ、パク・ウヨン、チョン・スハ、シム・ヒソプ、チェ・ヒジン
配給:ライツキューブ