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原將人映画ライブツアー

3月29日(金)開催【チケット販売中】

日時

3月29日(金)開催【チケット販売中】

料金

1プログラム 2,500円/学生・シニア・障がい者割引 2,200円 3プログラム通し券6,000円(劇場窓口のみ)

詳細 DETAIL

アンチ・レトロスペクティブ宣言
本上映会は決して回顧展ではない

【上映プログラム [双子暦シリーズ]】
17:00~舞台挨拶後、『双子暦記・私小説』SONGSライブ上映
19:10~『焼け跡クロニクル ディレクターズカット』FILMIXライブ上映
20:45~『双子暦記・星の記憶』
SONGSライブ上映後、トークショー
登壇者:原將人、原真織、宇田川幸洋(22:40終了)

映画ライブもしくはアンチ・レトロスペクティブ宣言

2024年3月1日 原 將人 記

 私、ハラは18歳で監督デビューして今年で映画監督歴56年である。
23歳『初国知所之天皇』で音楽家としてデビューして音楽家歴51年である。
半世紀以上経験を積んだ監督もしくは音楽家なら、本来ではレトロスペクティブの回顧展になるのだが、あえてアンチ・レトロスペクティブ宣言をする。すなわち『初国』以降の自ら音楽を手がけた作品を映画ライブするのだ。 
それによって過去の作品は、ライブとして生成され、<いま><ここ>に最新作として、映画原初のエネルギーに照射され蘇るのだ。ちなみに、FILMIXライブは映画が内包するサウンドに、映画館内で私とサポートミュージシャンが演奏を加えていく試み。SONGSライブは付いている音楽を取払い、SEのみ生かして館内でSONGS(歌)を加えていく試み。
本日ここに映画ライブ宣言、すなわちアンチ・レトロスペクティブ宣言をする!!

【作品紹介】

『双子暦記 私小説』(2024年/日本/115分/日本語/カラー/16:9/撮影:2012年~2017年)

 若松孝二監督の死から始まる本作を、今年13回忌にあたる大いなる先達に捧ぐ!
                                   原 將人

原 將人監督による私小説ならぬ私映画
2018年東京ドキュメンタリー映画祭・長編部門・グランプリ

ストーリー
62歳にして双子の父となることが分かった監督原 將人は、生まれてくる子供たちのためにブラックなバイトを始める。中華料理の出前、湯葉づくり、老舗旅館の夜警、どれも3ヶ月とは続かずクビになる。そして最もブラックだったタクシー運転手。タクシーの車窓から撮られた京都の名所の風景が、改めて昭和が終わったことを告げる。でも、ラッキーだったのは、待ち時間に、奈良の山林や三重の青山高原などが撮影ができた、測量の助手の仕事だった。この星に生まれてよかったと思われる星、地球の風景を思う存分撮ることができたのだった。原は、休みを取って、実家で子育てをしていた妻と双子姉妹を迎えにいくのだが、友人に借りたワゴン車が高速道路でスリップする・・・
見どころ
原はナレーションや字幕が説明的になるのを避け、70数首の短歌を挿入している。赤子の映像にかぶさるその短歌を、四年後の文字を覚えた双子姉妹が朗詠する。映像と音の時間の重なり。映画の多層性。映画の愉悦!そして、監督自らのピアノと歌によるライブ演奏、SONGSライブ!


『焼け跡クロニクル・ディレクターズ・カット』(2024年/日本/85分/日本語/カラー/16:9/撮影期間:1999年~2021年/撮影場所:京都・大阪・福岡・大分・熊本)

2022年、原 將人と原 真織、共同監督で、全国公開された『焼け跡クロニクル』の原 真織、単独監督によるディレクターズ・カット・ヴァージョン。原と真織だけだったナレーションに子供たちが加わり、未来を見据えた仕上がりになっている。
ストーリー
2018年、原ファミリーは、桜と新緑の美しい京都の春を迎えるが、その年の夏は少し様子が違った。梅雨明けに豪雨、そして連日の猛暑。原因は不明だったが、クーラーをつけていた2階から出火。最初に火を見つけた原が消そうとしたが、火は瞬く間に燃え広がり、自宅全焼。原は映画のデータを救出しようと、燃え盛る火の中に飛び込み、パソコンとハードディスクを持ち出すが、一酸化炭素中毒と火傷で病院に担ぎ込まれる。一方、職場で火事の知らせを受けた真織は帰路につき、火事の様子、避難した子供たちを携帯電話とタブレットによって撮り続ける。そして、退院した原は友人、ボランティアたちの助けられ瓦礫の下から熱による損傷は受けているというものの、何とか生き延びた8ミリフィルムを探し出す。映写機には通らないほど変形したそれを手回し編集機(ビューアー)で見てみると、そこに見え隠れする数十年前の原ファミリーの記憶は圧巻!まさにクロニクル(年代記)!
見どころ
音楽に特化した原は新たに数多くの楽曲を添えた。それに上映会場(映画館)のスクリーン前で原と遠藤晶美がキーボードとギターで音を足していく。そして、最後は3面マルチの8ミリ映像をバックに、テーマソングを原ファミリーが歌う!


『双子暦記 星の記憶』(2024年/日本/85分/日本語・星の言葉/カラー/16:9/撮影:1999年~2020年/撮影地:京都・ミラノ・ローマ・ペサロ・ウルビーノ・フランクフルト・鳥取砂丘)

『双子暦記 私小説』の姉妹編。原 將人の最新作にして最高傑作!(と原は語る)
ストーリー
双子の星からやって来た双子姉妹は高速に近いスピードだったので、地球到達まで14年の歳月を要したというアシュラ・ル・グイン的,SF的アプローチに始まり、その間、14歳年上の兄は父母に連れられ、イタリア、ドイツなどを旅していたと、旅の8ミリ映像でイントロが構成される。地球に到達した双子姉妹は直立、二足歩行と、地球での学びを重ねる。そして、星の言葉も地球の言葉にアップデートされていく。そのプロセスが、古都・京都の風景と、鳥取砂丘の砂の惑星のような風景のなかで、生活を共にする父親ならでは視線で双方向的に捉えられる。そして双子暦8年に入学を迎える。ところが、コロナの季節で入学式の翌日から休校。だが、新入生だけ特別あづかりで通うことができたのだった。父は改めて双子姉妹、マミヤとカリンに、地球にようこそと言う。
見どころ
こんなに子供が言語を獲得していく過程に密着した映画があっただろうか?特筆すべきは、それが二人の娘たちへの二人称として語られることだ。ホーム・ムービーであり、子育て映像日記であり、それがメタ・フィクション、メタ・SFを構成するところに、かってなかった映画力が発揮されている。それが、上質なエンターテインナメントなっていることに、見るものは驚かされるだろう!映画史に新しいページを開く傑作!しかも監督自らの歌を加えたSONGSライブである。