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5月2日(金)公開
5月2日(金)公開
第77回カンヌ国際映画祭特別招待作品
第61回台北金馬奨 最優秀長編映画作品賞、最優秀監督賞受賞
第25回東京フィルメックス 観客賞受賞
本作は、2024年第77回カンヌ国際映画祭特別招待作品ドキュメンタリー部門で上映され、英ガーディアン紙に「コロナ禍についての、まったくユニークで非常に重要な映画。『天安門、恋人たち』以来の最高傑作。☆☆☆☆☆。」と絶賛の評が掲載された。
11月の中華圏最大の映画祭、台北金馬映画祭では、金馬奨の劇映画部門の最優秀作品賞と監督賞のダブル受賞。BBC中国語において高雄映画祭のディレクターを務めたチェン・ビンホン氏は「COVID-19により中国は大きく揺らぎました。ただ映画ではそのことを明確には語りません。中国の第6世代のロウ・イエは対立を求めるのではなく、ただ現実をリアルに映し出そうとしています」と評した。
カンヌ国際映画祭での特別上映は“ドキュメンタリー部門”に入選し、金馬奨は“劇映画部門”での受賞。
フィクションの物語をドキュメンタリー的に描くフェイクドキュメンタリーという手法に加え、コロナ禍で実際に撮影されたスマホの映像を織り込み、多層的なフィクションドキュメンタリー作品となっている。
映画の冒頭、10年前に撮影され未完成のクィア映画を完成しようとスタッフが集められる。そこで編集用のモニターに映し出される映像は、ロウ・イエ監督の過去作『スプリング・フィーバー(2019)』『二重生活(2012』『シャドウプレイ(2018)』などの映像。それらの作品の主人公を演じたチン・ハオが俳優役としてスタジオに訪れる。監督と話し合いが行われ、完成しても中国の検閲では公開されないことが分かった上で撮影が再開される。映画は虚実が交錯する設定で始まる。
映画制作は無事開始されるが、コロナウィルスに関する不確かな情報の中、ホテルがロックダウンされ、スタッフがホテルに閉じ込められる。劇中では、コロナ禍で実際に撮影されたスマホの縦型動画が次々とスクリーンに映し出される。
東京フィルメックスで観客賞を受賞した上映後のXには「すごい映画を観てしまった。コロナ禍の私達の記憶を繋げ包み込む傑作。どんな時にも人間とは心を解放し前に進もうとする生き物だと言われたようだ」「生々しくあのロックダウンの記憶が蘇る。映画は終盤に向け虚実が入り乱れる。これ以上の「コロナ記録映画」は存在し得ないのでは」「映画の自由を存分に浴びた。スマホの自撮りを通して、映画とは何か?を問い直す傑作」など多くの熱いコメントがポストされた。
2019年コロナウィルスが発生したと言われる中国武漢に近い都市を舞台にして、映画制作を行っていた人々を描くことにより、パンデミック時の「集団的トラウマの記録」をリアルに描いた映画がロウ・イエ監督の最新作『未完成の映画』だ。
監督のシャオルイ(マオ・シャオルイ)は、10年前に中断された「未完の映画」の撮影を再開するため、キャストとクルーを集め説得する。
そして2019年、10年間電源が入っていなかったコンピュータが起動した。2020年1月、撮影がほぼ完了した矢先、新種のウイルス(コロナ)に関する噂が広まり始める。
不穏な空気が漂う中、武漢から来た美容師が帰宅を余儀なくされ、クルー達は携帯電話でニュースを追い続ける日々を送る。一方、シャオルイ監督は再び撮影を中断するかどうかの決断を迫られる。そんな中、一部のクルーと俳優はホテルが封鎖される前の脱出に成功するものの、残ったクルーはホテルの部屋に閉じ込められたまま、すべてのコミュニケーションが携帯電話の画面だけに制限される。
そして武漢はロックダウンする。
クルーたちはビデオ通話を通じて連絡を取り合い、ホテルに閉じ込められたままの主演俳優のジャン・チェン(チン・ハオ)は、北京で1か月の赤ん坊と共に部屋に閉じ込められている妻サン・チー(チー・シー)を元気づけようと奮闘する。
『未完成の映画』 一部未完成的電影/An Unfinished Film
(2024年/シンガポール、ドイツ/中国語/107分/2K/カラー/16:9/5.1/1:1.85)
監督:ロウ・イエ
出演:チン・ハオ、マオ・シャオルイ、チー・シー
脚本:ロウ・イエ、インリー・マー
制作会社:Yingfilms Pte. Ltd. Essential Films ZDF/ARTE Cinema Inutile Teamfun International GmbH Gold Rush Pictures
配給・宣伝:アップリンク
日本語字幕:樋口裕子