
(C)Untitled 23 / Channel Four Television Corporation / Mediapro Cine S.L.U.
日時
10月24日(金)公開
料金
一般¥2,000/シニア(60歳以上)¥1,300/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳)¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/障がい者割引¥1,000/UPLINK会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINKユース会員(22歳以下)いつでも¥1,000
(C)Untitled 23 / Channel Four Television Corporation / Mediapro Cine S.L.U.
10月24日(金)公開
一般¥2,000/シニア(60歳以上)¥1,300/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳)¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/障がい者割引¥1,000/UPLINK会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINKユース会員(22歳以下)いつでも¥1,000
現代のロンドンを舞台に、いつも怒りの感情をかかえた母親を主人公にした珠玉のヒューマンドラマが誕生した。問いかけられるのは、「人間とは?」、「家族とは?」、そして、「幸せとは何か?」──。監督はイギリスを代表する巨匠のマイク・リー。『秘密と嘘』がカンヌ映画祭でパルムドールを受賞し、日本のミニシアターでも大ヒットとなったが、この作品に出演したマリアンヌ・ジャン=バプティストと監督との奇跡の再会が実現した。
表現者として深みを増したふたりのタッグは、前作以上にパワフルな人物像を作り上げ、ジャン=バプティストは、この映画で数々の演技賞も獲得。作品自体も世界の映画祭で27の受賞・57のノミネートを果たし、批評サイト、ロッテントマトの支持率は驚異の95%。主人公の夫や息子、妹とのねじれた家族関係を見つめ、<笑い><涙><怒り>が交錯。やがて、一筋の希望が浮かび上がる人生賛歌が、日本の映画ファンの心を鷲づかみにする!
本作の主人公、パンジーは、夫や息子と暮らす黒人の中年女性。いつも何かに苛立ち、身近な人々との衝突を繰り返している。配管工の夫や20代の無職の息子との関係もぎくしゃくする日々。しかし、対照的な性格の妹、シャンテルと母の日に亡き母の墓参りに行った時から、自分の秘められた気持ちと向き合う。その心の奥には、長年、家族に複雑な思いを抱えてきたパンジーの深い孤独や悲しみが浮かぶ。
パンジー役のマリアンヌ・ジャン=バプティストは、96年の『秘密と嘘』では、生みの母親と新たな関係をめざす若い女性を演じてアカデミー助演女優賞候補となった。それから25年以上が経過し、女優としてさらに円熟。激しい怒りを見せつつ、繊細な揺れもある女性の内面を見事に表現する。その圧巻の演技は、当初、期待されたオスカー候補は逃したものの、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドンなど主要の映画批評家協会賞の主演女優賞を獲得。キャリアにおける最高の演技が海外では高く評価された。
監督のマイク・リーは過去の『秘密と嘘』、『家族の庭』といった代表作でも、家族の絆を通じて、社会の片隅で生きる庶民たちの真実を描き続けてきた。この作品でも、いつも通り撮影前は脚本を用意せず、俳優との即興的なリハーサルを重ねることで物語の骨組みを作り上げる。そんな独自の手法を通じて人間のリアルな感情に迫っていく。
その斬新で大胆な映画作りは、ショーン・ベイカー、グレタ・ガーウィグといった名だたる監督たちにも影響を与え、世代が少し上のイギリスの名匠ケン・ローチと共に庶民たちの人間模様を見つめ続けてきた。80代となった彼は、今回、初めてロンドンで生きる黒人たちの日常生活をテーマにし、まさに演出の極致ともいうべき至福の逸品を作り上げた。その見事な手腕は、「82歳のマイク・リー監督によるキャリア屈指の傑作」(Financial Times)、「最後まで観客を惹きつける力作」(The Guardian)とマスコミでも絶賛された。静かながらも、ユーモアもあり、感情を強く揺さぶる稀有な展開で、その職人芸を発揮する。
その他の共演陣は、パンジーの明るい性格の妹、シャンテル役に『秘密と嘘』のミシェル・オースティン、パンジーの忍耐強い夫、カートリー役に『アヴェンジャーズ』のデヴィッド・ウェバー、パンジーの無口な息子、モーゼス役に『Back to Black エイミーのすべて』のトゥウェイン・バレット、シャンテルの娘、ケイラ役にNetflix『One Day/ワン・デイ』のアニ・ネルソン、姉妹のアレイシャ役に『美女と野獣』のソフィア・ブラウン、ヴァージル役に『魔女がいっぱい』のジョナサン・リヴィングストン。スタッフにはマイク・リー組がずらりと揃った。製作は90年代の『ネイキッド』以来、リーと組んでいるジョージナ・ロウ、製作総指揮は『ヴェラ・ドレイク』以降、リー組となったゲイル・リーガン、撮影監督はこれまで監督と14回組んだベテランのディック・ポープ。また、プロダクションデザインのスージー・デイヴィーズ、衣装デザインのジャクリーン・デュラン、作曲のゲイリー・ヤーションなども過去に監督と組んでおり、編集のタニア・レディンだけが初の参加となった。
リー監督はインタビュー(AP通信)で「街に出ればパンジーのような人間はたくさん目に入る」と語っている。パンジーは怒りを周囲にぶつける人生を送っているが、この映画では、そんな主人公の怒りや孤独の向こう側にあるものも見せる。自分が周囲に嫌われていると考える彼女に、素直な妹のシャンテルは言う──「あなたのことは理解できないけれど、それでも、あなたを愛している」。どんな自分でもきっと受け入れてくれる人がいる。そんな救いと希望も感じさせる屈指の傑作となっている。
舞台は現代のロンドン。パンジーは配管工の夫、カートリーや20代の無職の息子、モーゼスと⼀緒に暮していた。いつも怒ってばかりの彼女は朝から家族にも小言ばかり。外出しても、パンジーの怒りは収まらない。そんな彼女には美容師の妹、シャンテルがいるが、彼女は姉とは対照的な陽気な性格。シングルマザーの彼女はふたりの娘と暮しているが、家庭内では笑いが絶えない。母の日がくると、シャンテルの提案で、パンジーは亡くなった母、パールの墓参りにしぶしぶ出かけるのだが…。
『ハード・トゥルース 母の日に願うこと』(2024年/イギリス/英語/97分/シネスコ/5.1ch)
監督・脚本:マイク・リー
出演:マリアンヌ・ジャン=バプティスト、ミシェル・オースティン、デビッド・ウェバー、ソフィア・ブラウン、ジョナサン・リンビングストーン
提供:ニューセレクト
配給:スターキャットアルバトロス・フィルム