ジミ・ヘンドリックス生前最後のツアー「The Cry of Love Tour」は1970年4月25日のLAを皮切りに、9月6日の独フェーマルン島まで北米/ヨーロッパを回った。このツアーでジミ・ヘンドリックスは英ワイト島フェスティバル(8月31日)、米アトランタ・ポップ・フェスティバル(7月4日)と英米最大規模の2大フェスに出演。
本作はジョージア州バイロンのミドル・ジョージア・レース競技場で開催された第2回アトランタ国際ポップ・フェスティバルのライブの映像だ。ジミは前年(1969年)のウッドストック・フェスティバルのトリに出演。この頃のアメリカで最も動員力を誇るアーティストで、この日もジミの人気は凄まじく20万人(40万人とも言われている)のオーディエンスを前に圧巻のパフォーマンスを披露。
メンバーはザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスからの盟友、ミッチ・ミッチェル(ドラム)。バンド・オブ・ジプシーズからのビリー・コックス(ベース)という盤石のトリオ編成。「フォクシー・レディ」「パープル・ヘイズ(紫のけむり)」「ヴードゥー・チャイルド (スライト・リターン)」といった、それまでにリリースしたアルバムの中からお馴染みの曲を次々に演奏。また、この時点では発表していない新曲 「Straight Ahead/アルバム”The Cry of Love(1971年5月)”収録」も披露。この日はアメリカの独立記念日。前年のウッドストック・フェス以来、今やすっかりジミヘンの代名詞ともなったアメリカ国家「星条旗よ永遠なれ」が演奏されるや、場内の盛り上がりも最高潮に達した。ジミヘンの後ろでは独立記念日を祝う花火も打ち上げられ、このコンサートのハイライトとなった。
また本作品ではギターソロに入ったジミヘンの手元部分を映し出したシーンも多い。あの名曲の指の動きが垣間見られ、ギター好きにとってはたまらない映像だ。
「アトランタ・ポップ・フェスティヴァル1970」はドキュメンタリー「Jimi Hendrix: Electric Church」というタイトルで2015年に米国でTV放送。2019年1月にはアメリカ国内で劇場公開されており、本作は同作品から演奏シーン10曲をセレクトし編集したヴァージョン。また「Freedom: Atlanta Pop Festival」というタイトルで2015年8月に2枚組CDでリリースされている。