日時
上映終了
料金
一般¥2,000/シニア(60歳以上)¥1,300/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳)¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/障がい者割引¥1,000/UPLINK会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINKユース会員(22歳以下)いつでも¥1,000
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一般¥2,000/シニア(60歳以上)¥1,300/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳)¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/障がい者割引¥1,000/UPLINK会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINKユース会員(22歳以下)いつでも¥1,000
11月1日(土)11:20の回上映終了後
登壇者:川上泰徳監督
11月3日(月・祝)12:15の回上映終了後
登壇者:川上泰徳監督
11月6日(木)13:20の回上映終了後
登壇者:ダニー・ネフセタイ(木製家具作家/元イスラエル軍兵士)、川上泰徳監督
※敬称略
※登壇者は予告なく変更になる場合がございます。予めご了承ください。

2023年10月7日、イスラエルに「壁(分離壁)」で封鎖されたガザ地区からイスラム組織・ハマスが越境攻撃を行い、それに対してイスラエル軍による「壁の向こう」へのすさまじい報復攻撃。死者は6万人を超え、そのうち1万8千人以上が子どもという惨状で、停戦が見えない中、その数はいまも増え続けている。(2025年7月末現在)
外国人ジャーナリストがガザに入ることが困難な中、2024年7月、同じく「壁」で分離されたパレスチナ・ヨルダン川西岸地区に、ボーン・上田記念国際記者賞の受賞経験もある中東ジャーナリスト・川上泰徳が取材に入った。今年3月に米国アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』でも舞台となったマサーフェル・ヤッタにも入り、イスラエル軍による攻撃・破壊やユダヤ人入植者の暴力の激化を目の当たりにする。一方、イスラエル側では国民の多くが「壁」の外側の惨状に目を向けない中、兵役を拒否する三人の若者がいた。
中東を見つめつづけたジャーナリストがいま伝えたい、パレスチナとイスラエルの“現在”とは──。



2023年10月7日、ガザのイスラム組織ハマスの軍事部門によるイスラエル側での越境攻撃で、約1200人のイスラエル人が死亡、約250人が人質としてガザに拉致された。イスラエルの報復戦争が始まり、2024年6月末までにガザの死者は3万8千人、そのうち1万4千人が子供という惨状になっていた。中東ジャーナリストの川上泰徳は7月、常軌を逸したガザ戦争の背景を探るため、一か月にわたるパレスチナとイスラエルの現地取材を行った。このドキュメンタリーはその記録である。
ガザは封鎖されて入ることはできなかったため、イスラエル軍による占領が続くヨルダン川西岸のパレスチナに入った。イスラエルは西岸の間に700キロに及ぶ壁(分離壁)を建設している。西岸は壁の外である。向かった先は、西岸の最南端のマサーフェル・ヤッタ。その2月のベルリン国際映
画祭でマサーフェル・ヤッタを舞台にしたドキュメンタリー映画『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』が最優秀ドキュメンタリー賞を受賞したことがニュースになった。当時、映画は公開されていなかったが、イスラエルの占領を描いたとされる映画の舞台を見てみようと思い、現地へ向かった。

川上が見たのは山がちの荒涼した大地で、羊飼いの世界だった。点在する19の村に計1000人が住み、人々は羊の放牧で生計を立てていた。しかし、そこは広い範囲がイスラエル軍の軍事地域(軍事演習場)に指定され、軍による住民の排除が進んでいた。
次に訪れた村では、日常的に住宅が破壊され、人々はテントで暮らしていた。軍に守られて、イスラエル人入植地がいくつも出来、銃で武装した入植者たちがパレスチナ人の村を襲撃する。家が放火され、男たちが暴力を受けた村を訪ねると、地域では学校の破壊も続いていた。川上は行く先々で、人々に直接アラビア語でインタビューを重ね、悲惨な占領の元で生きる人びとの声を聞いた。
西岸取材の後、イスラエル側でも取材をした。エルサレムではハマスに捉えられた人質解放を政府に求める大規模な市民のデモが行われていた。停戦による人質解放を軽視して、戦争継続を主張するネタニヤフ政権を批判するデモだった。しかし、イスラエル市民が見ているのは人質の命であり、ガザの民間人や子供たちの犠牲は眼中にないようだった。

その後、旧知の独立系のジャーナリストに会い、イスラエル人は自国軍が引き起こしているガザの悲劇や西岸での占領の実態をどのように考えているかを質問した。しかし、彼はイスラエルのメディアはイスラエル国内のアラブ人や壁の向こうの占領下のパレスチナ人の悲惨な現実は報じないと語った。それゆえ、イスラエル人の多くはガザ戦争でのパレスチナ人の悲劇も占領下の生活も知らないのだという。
ガザ戦争や占領に反対して、兵役を拒否する、高校を卒業したばかりの3人の若者も取材した。彼らは、多くのイスラエル国民が見ようとしない「壁の外側」の自分たちの「加害」に目を向けていた。
イスラエルの取材の後、もう一度、壁の外側の西岸に戻った。そこで出会ったのは、占領下のパレスチナ人と人間的な関係をつくろうとして壁を越えてくる小さな市民グループだった……。



1956 年生まれ、長崎県出身。大阪外国語大学アラビア語科卒。学生時代にカイロ大学留学。
朝日新聞に入社し、高知支局、横浜支局、東京本社学芸部を経て、国際報道部へ。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」などを現地取材。
中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。15年からフリーランス。著書に「中東の現場を歩く」(合同出版 2015)、「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書 2016)、「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店 2019)、「戦争・革命・テロの連鎖 中東危機を読む」(彩流社 2022)などのほか、ガザ戦争が始まってから「ハマスの実像」(集英社新書 2024)を刊行。



『壁の外側と内側 パレスチナ・イスラエル取材記』(2025年/日本/カラー/5.1ch/104分)
監督・撮影・編集・製作:川上泰徳
配給:きろくびと