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黒川の女たち

上映中~終映日未定 ※不定期上映

©テレビ朝日

日時

上映中~終映日未定 ※不定期上映

料金

一般¥2,000/シニア(60歳以上)¥1,300/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳)¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/障がい者割引¥1,000/UPLINK会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINKユース会員(22歳以下)いつでも¥1,000

スケジュールとチケット SCHEDULE & TICKETS

11.10

11.12

11.13

詳細 DETAIL

上映後舞台挨拶開催!

11月10日(月)10:30の回上映終了後
登壇者:松原文枝監督、江口英明プロデューサー
11月12日(水)10:30の回上映終了後
登壇者:松原文枝監督

※敬称略
※登壇者は予告なく変更になる場合がございます。予めご了承ください。


1945年関東軍敗走の満洲で待ち受けた、黒川開拓団の壮絶な運命──
戦争と性暴力の事実、いま知るべきことがここに在る。

80年前の戦時下、国策のもと実施された満蒙開拓により、中国はるか満洲の地に渡った開拓団。日本の敗戦が色濃くなる中、突如としてソ連軍が満洲に侵攻した。守ってくれるはずの関東軍の姿もなく満蒙開拓団は過酷な状況に追い込まれ、集団自決を選択した開拓団もあれば、逃げ続けた末に息絶えた人も多かった。そんな中、岐阜県から渡った黒川開拓団の人々は生きて日本に帰るために、敵であるソ連軍に助けを求めた。しかしその見返りは、数えで18歳以上の女性たちによる接待だった。接待の意味すらわからないまま、女性たちは性の相手として差し出されたのだ。帰国後、女性たちを待っていたのは労いではなく、差別と偏見の目。節操のない誹謗中傷。同情から口を塞ぐ村の人々。込み上げる怒りと恐怖を抑え、身をひそめる女性たち。青春の時を過ごすはずだった行先は、多くの犠牲を出し今はどこにも存在しない国。身も心も傷を負った女性たちの声はかき消され、この事実は長年伏せられてきた。だが、黒川の女性たちは手を携えた。
したこと、されたこと、みてきたこと。幾重にも重なる加害の事実と、犠牲の史実を封印させないために──。

「私は昔のことだけは忘れません。満洲で死ぬか生きるかを問うたんです。」

今から10年ほど前、敗戦直後の満洲で起きた性暴力の実態を佐藤ハルエ、安江善子が自ら告白した。当時、ソ連軍に差し出された女性は15人。数えで18歳以上の未婚女性が犠牲となった。
今はどこにもない国、満洲国。岐阜県にある白川町黒川からも佐藤ハルエ、安江善子を含む650人余りの人々が黒川開拓団として海を渡り、丸5年その国で生活を送った。

「満洲にいる時より帰国してからの方が悲しかった。」

性接待の犠牲を払いながらも敗戦から1年、黒川開拓団の人々は帰国した。しかし、帰国した女性たちを待ち受けていたのは差別と偏見の目。二重の苦しみに追い込まれ佐藤ハルエは、故郷を離れるしかなく、未開の地・ひるがのをゼロから開墾し借金をして酪農を始めた。安江玲子は黒川を離れ東京に。夜も眠れない毎日が続いた。水野たづは、決して口外することはなかった。それぞれが思いを抱え、それでもこの思いを口にすることなく、時に性接待の犠牲にあった女性たちのみで集まり涙をこぼした。そんな日々が続いた中、2013年満蒙開拓記念館で行われた「語り部の会」で佐藤ハルエと安江善子が、性暴力にあったことを公の場で明かした。彼女たちの勇気ある告白に、今度は、世代を超えて女性たちが連帯した。彼女たちの犠牲を史実として残す。戦後70余年、黒川の鎮守の森に碑文が建てられ、その歴史が公に刻まれることとなった。
戦後80年の時を経て、女性たちに大きな変化をもたらした。過去に向き合うこと、それは尊厳の回復にもつながることだった。

『黒川の女たち』(2025年/日本/99分/ドキュメンタリー)
監督:松原文枝
語り:大竹しのぶ
配給:太秦