上映 MOVIES

SUB MENU

シナリオ Scénarios

11月7日(金)~上映

日時

11月7日(金)~上映

料金

【特別料金】一般1,700円

リンク

詳細 DETAIL

ジャン゠リュック・ゴダール 遺作

「そのふたつのシナリオを完成させて、自分の映画人生、映画監督人生を終わりにする。そして映画に別れを告げる」

(2021年3月「ケララ国際映画祭」ビデオインタビューより)

2022年9⽉13⽇にこの世を去ったとき、ジャン゠リュック・ゴダールは自分が書いたシナリオに従って自発的な死を遂げた。
2年前から彼は『シナリオ〔Scénario〕』と題した、エクランノワール・プロダクションのミトラ・ファラハニとアルテとの共同製作による最後の長編企画に取り組んでいた。
モンタージュの構想を記した⼿帳やノートが、アイデアを明確にするために何冊も作られた。
ところが、ジャン゠リュック・ゴダールは死の数⽇前になってカードを切り直し、⼆部構成の映画を仕上げるように指示を出した。
それに従ったのが『シナリオ〔Scénarios〕』である。
その⼀年前、2021年10⽉には、『シナリオ〔Scénario〕』の企画の構想を、 アシスタントのジャン゠ポール・バタジアとファブリス・アラーニョに説明していた。
その説明の模様を収めたのが、⼆番⽬の映画『シナリオ:予告篇の構想』である。

『シナリオ』(原題:Scénarios)

「シナリオ」とは、物語を語るやり⽅に映画が与えた名前であるとともに、ジャン゠リュック・ゴダールが⾃⾝の最後の映画に付けることにしたタイトルでもある。この映画は、彼が⾃発的な死を遂げた⽂字通りの前⽇に作られたが、だからといってそれは完成に⾄らないわけではなく、まさしく未完成であるという状態で実現されることになるのだ。さて、『シナリオ〔Scénario〕』は最終的には複数形で『シナリオ〔Scénarios〕』と書かれ、「DNA 基礎を成す要素」と「MRI オデッセイ」の⼆部構成となる。DNAとは⽣物学的な署名であり、それが⼈間主体を特異なものとして構成する。MRIは医学的な画像と衰弱した⾝体の苦しみを思い起こさせ、主体が磁気共鳴の戯れのうちに溶解していくことを暗⽰する。こうして厳密に物質主義的なやり⽅で起源と衰退を喚起する2つの極のあいだで繰り広げられるのは、ある主体の物語、ノートと画像を混ぜ合わせ、18分に凝縮したものからなる物語である。唯⼀無⼆でありながら集合的な語り、死に取り憑かれた⽣の語り。というのも、この映画は永遠の別れの挨拶、葬送の挽歌でもあるからだ。2つのパートはそれぞれ、まったく同じ⼀連のシークェンスで幕を開けるが、第⼆部になると分岐していき、JLGの⾃画像――これが彼の最後のイメージとなる――で終わる。ベッドに腰かけ、ピガールによるヴォルテールの彫像のごとく上半⾝をあらわにし、⾝体の衰えをいっさい隠すことなく、指ならざるものについてのジャン゠ポール・サルトルによる論理的にして滑稽な⼆重の教訓話を書き写す姿である。『シナリオ』は〔各パートの〕幕開けと同じく、繰り返しで終わりを告げる。すなわち、永遠回帰という、時間――それは映画にとっての唯⼀ではないにしても⼤きな問題だったことになるだろう―が過ぎゆくものではなくなった瞬間の形象とともに。

『シナリオ:予告篇の構想』
(原題:Exposé du film annonce du film “Scénario”)

2021年10⽉、ジャン゠リュック・ゴダールは『シナリオ』という 6つのパートからなる⻑篇映画の企画の構想説明を⾏った。
静⽌画像と動画像を混ぜ合わせ、読むことと⾒ることの中間にあるような映画である。

『シナリオ』(2024年/フランス・⽇本/18 分/DCP/カラー/HD 1.78:1/5.1ch)
監督・脚本・編集:ジャン゠リュック・ゴダール
撮影:ファブリス・アラーニョ
製作主任:ジャン=ポール・バタジア
製作助⼿:オーレリアン・プティ、リゾン・ドゥート

『シナリオ:予告篇の構想』(2024年/フランス・⽇本/36 分/DCP/カラー/HD 1.78:1/5.1ch)
監督・脚本・編集:ジャン゠リュック・ゴダール
共同執筆:ジャン=ポール・バタジア、ファブリス・アラーニョ
助⾔:ニコル・ブルネーズ
撮影:ファブリス・アラーニョ
製作主任:ジャン=ポール・バタジア
製作助⼿:オーレリアン・プティ/リゾン・ドゥート

配給:ねこじゃらし