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喝采 THE GREAT LILLIAN HALL

1月9日(金)公開

©2024 Crazy Legs Features LLC

日時

1月9日(金)公開

料金

一般¥2,000/シニア(60歳以上)¥1,300/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳)¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/障がい者割引¥1,000/UPLINK会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINKユース会員(22歳以下)いつでも¥1,000

詳細 DETAIL

キャリア終焉の危機に直面した大女優が挑む最後の舞台!
現代アメリカを代表する実力派スター、ジェシカ・ラングが、
心震わす演技で体現した人間賛歌のヒューマン・ドラマ

長らく演劇界の第一線で活躍し、公私にわたるパートナーだった最愛の夫の死をも乗りこえてきた大女優リリアン・ホールは、今はアントン・チェーホフの戯曲「桜の園」のブロードウェイ公演を間近に控えていた。ところが稽古中に突然言葉を失うアクシデントに見舞われたリリアンは、医師から認知症を患っていることを告げられてしまう。それは引退勧告に等しいあまりにも残酷な現実だったが、人生のすべてを舞台に捧げてきたリリアンは、病気の事実を胸の奥底に押しとどめ、「桜の園」をやり遂げる決意を新たにする。しかし病状が悪化の一途をたどるリリアンの行く手には、たびたび亡き夫の幻影が現れ、現実と妄想の境目さえも曖昧になっていく。それでも誇り高き大女優は、キャリアのフィナーレを飾る舞台に立つべく、不屈の執念で逆境をはねのけていくのだった……。

米アカデミー賞にて6度ノミネートを果たし、『トッツィー』で助演女優賞、『ブルースカイ』で主演女優賞を受賞。テレビ界、演劇界でもめざましい実績を残し、エミー賞3回、トニー賞1回の受賞歴を誇るジェシカ・ラングは、まさに現代のアメリカを代表する実力派スターだ。そのラングが主演を務め、全米で絶賛を博した『喝采』は、ブロードウェイの伝説的な女優マリアン・セルデスをモデルにしたヒューマン・ドラマである。

本作は、決して認知症についての話ではない。俳優にとって致命的な危機に直面した主人公リリアンは、演劇に尽きせぬ情熱を注いできた自分自身と向き合い、「人生のエピローグをいかに生きるか」という選択を迫られていく。悪化する病魔に抗いながら、理想的な人生の締めくくり方を追い求めるリリアンの姿は、あらゆる観客の胸を締めつけてやまない。リリアンと長年苦楽を共にしてきたアシスタントとの友情、芸術仲間や若き演出家との交流、わだかまりを抱えた娘との和解のドラマも重層的に織り込まれた本作は、私たち誰しもに訪れる“人生の晩秋”についてのさまざまな示唆に富み、このうえなく深い感動を呼び起こす。

ブロードウェイの伝説的な女優をモデルにして、
「桜の園」の劇中劇と主人公の実人生を交錯させた
ただならぬ迫真性と真実味がみなぎる映像世界

ステージで華々しくスポットライトを浴びるスター俳優の実像に迫った本作は、輝かしいキャリアの代償と向き合う主人公リリアンの孤独や老いの不安のみならず、並外れた情熱と誇り高さ、生きる喜びを力強く描き上げた人間賛歌でもある。主演のジェシカ・ラングは代表作『女優フランシス』『ブルースカイ』、1992年のブロードウェイ・デビュー作「欲望という名の電車」がそうであるように、神経症的なキャラクターを演じるとただならぬ凄みを発揮する俳優であり、プライベートでは長く鬱病と闘ってきたことを告白している。本作のリリアン役はまさにラング自身の人生と重なり、観る者を圧倒するほどの迫真性がみなぎっている。

また、本作はいわゆる“実話の映画化”ではないものの、リリアンのモデルになったマリアン・セルデスは晩年認知症に苦しんだという。セルデスの姪にあたるエリザベス・セルデス・アナコーンが脚本を手がけ、ドラマに重い真実味を吹き込んでいる。
映画、テレビ、舞台で幅広く活躍してきた才人、マイケル・クリストファー監督の巧みな語り口も見逃せない。日本でも広く親しまれているチェーホフの名作戯曲「桜の園」を劇中劇として映像化。19世紀末ロシアの過酷な現実に翻弄されるラネーフスカヤ夫人(愛称・リューバ)と、リリアンの実人生をリンクさせたドラマチックなストーリー展開は見事と言うほかはない。ジョセフ・L・マンキウィッツ監督、ベティ・デイヴィス、アン・バクスター主演の『イヴの総て』、ジョン・カサヴェテス監督、ジーナ・ローランズ主演の『オープニング・ナイト』など、映画史上には舞台俳優の壮絶な生き様を描いた傑作が少なくないが、本作はその系譜に新たに名を連ねる一作と言えよう。

ラングの脇を固めるキャストも存在感十分だ。リリアンの苦境を陰ながら支え続けるアシスタントのイーディスを演じるのは、『ミザリー』でアカデミー賞主演女優賞とゴールデン・グローブ賞主演女優賞(ドラマ部門)をダブル受賞したキャシー・ベイツ。『007』シリーズの5代目ジェームズ・ボンドとして名を馳せたピアース・ブロスナンが、リリアンの隣人である元芸術家のタイに扮し、小粋なユーモアを添えているのも嬉しい。さらに、名優ジル・クレイバーグと脚本家デヴィッド・レーブの娘であるリリー・レーブが、芸能一家の特殊な環境で育ったマーガレットの苦悩をリアルに体現している。

【STORY】

フィナーレこそが人生

ブロードウェイが誇る伝説の大女優リリアン・ホールを襲った突然の病い。
記憶障害に抗いながら、彼女は最期になるであろう舞台のために人生のすべてを賭ける。
舞台は無事初演を迎えることができるのか?
生きる悦びを圧倒的な力で伝える、人生賛歌の感動作。

『喝采』(2024年/アメリカ/英語/スコープサイズ/110分/PG12)
監督:マイケル・クリストファー
出演:ジェシカ・ラング、キャシー・ベイツ、リリー・レーブ、ジェシー・ウィリアムズ、ピアース・ブロスナン
配給:彩プロ