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ボタニスト 植物を愛する少年 植物学家/The Bitanist

5月15日(金)公開

©️2025 MONOLOGUE FILMS ALL RIGHTS RESERVED / ReallyLikeFilms

日時

5月15日(金)公開

料金

一般¥2,000/シニア(60歳以上)¥1,300/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳)¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/障がい者割引¥1,000/UPLINK会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINKユース会員(22歳以下)いつでも¥1,000

詳細 DETAIL

第75回ベルリン国際映画祭ジェネレーションKplus部門
国際審査員グランプリ(最高賞)受賞

第49回香港国際映画祭 最優秀監督賞&国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)
第15回北京国際映画祭「フォワード・フューチャー」部門 最優秀男優賞
第42回ミュンヘン国際映画祭 ヤング審査員賞
第40回バレンシア国際ヤング映画祭(シネマ・ホーベ)撮影部門 審査員特別言及
第18回フィラデルフィア・アジアン・アメリカン映画祭 最優秀長編劇映画 審査員賞
2025年アジアン・フィルム・フェスティバル・バルセロナ コンペティション部門 最優秀作品賞・最優秀監督賞
第46回カイロ国際映画祭 国際批評家週間部門 特別表彰、NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)

都市から隔離された辺境の地で、森羅万象、マジカルリアルな緩やかな時間が流れていく。
新疆ウイグル地区から現れた驚異の映像詩人、ジン・イー鮮烈のデビュー!

『ボタニスト 植物を愛する少年』は、中国西北部・新疆の草原を舞台に、自然との対話、記憶の循環、そして成長の瞬間を静かに描き出す詩的な長編デビュー作である。
北京電影学院出身の新鋭が、自身の故郷の記憶と精神的風景をもとに制作した本作は、ベルリン国際映画祭ジェネレーションKplus部門でワールドプレミア上映されるとグランプリを受賞。その後も東京国際映画祭、釜山国際映画祭など数々の映画祭に招待され国際的な注目を集めた。
幼少期に映画文化から遠く離れて育ちながらも、チャン・イーモウ、チェン・カイコー、ウォン・カーウァイといった中国映画の巨匠に加え、アッバス・キアロスタミ、テレンス・マリック、サタジット・レイら世界的作家の作品との出会いが、詩的で瞑想的な映画言語の形成に大きな影響を与えている。特に現代中国アートハウス映画を代表するビー・ガンの作品との邂逅は重要であり、夢と現実の境界を揺らしながら時間そのものを描く姿勢は、近年の中国映画に現れつつある新たな潮流 ― いわゆる「第八世代」とも呼び得る動向と響き合っている。

本作では風景が単なる背景ではなく、精神的な存在として描かれる。新疆の広大な草原や植物は、登場人物と同様に生きた存在として映し出され、自然や精霊との静かな対話が作品全体を貫いている。撮影監督リー・ヴァノンによるカメラは、ゆったりとしたパンショットや長回しを基調に、風や光、葉の揺らぎを丁寧に捉え、人間と自然が呼吸を共有するような感覚を映像として可視化している。時間を「進行」ではなく「循環」として体験させる映像設計は、本作の詩的世界を支える重要な要素となっている。
音楽は国際的作曲家ペイマン・ヤズダニアンが担当し、繊細で浮遊感のある旋律が、現実と幻想の境界を柔らかく溶かすような響きをもたらしている。また、本作では演技経験のない俳優たちを起用。自然観察や生活体験を共有する長期的なプロセスを通じて、演技というよりも“存在そのもの”が画面に現れるようなリアリティが生み出された。特に主人公アルシンを演じたイェスル・ジャセレの飾りのない等身大の演技は高い評価を受け、北京国際映画祭では最優秀男優賞の名誉に輝いた。

プロデューサーのズオロン・シャンは、中国インディペンデント映画の国際的な展開を支えてきた存在として知られ、本作では地域文化への深い理解と国際共同制作の経験を活かし、ローカルな物語を世界的文脈へと接続する役割を担った。アートハウス作品の海外展開において重要な橋渡し役として活動してきた彼の参加により、新疆という特異な土地性が保たれながらも、普遍的な映画体験として成立している。
欧米の批評家からは「シンプルでありながら深遠」「風景そのものが主人公」と評され、テレンス・マリックやアッバス・キアロスタミの系譜を想起させる作品として高い評価を受けている。都市中心のドラマから距離を置き、自然と記憶、そして人間の内面を静かに見つめる視線が国際的に注目を集めた。新疆の風景を捉えた撮影は、ゆったりとしたカメラの動きと長回しによって時間の流れそのものを体験させる映像表現として評価されている。本作は、中国映画における新たな潮流を象徴する一本として、世界各国の映画祭で注目を集めている。

【STORY】

葉と葉が擦れ笑い声を立てる。
川の水は時間の流れを循環させ、大地は過去の記憶を堆積させる。

新疆北部の草原地帯にある小さな村。カザフ族の少年、13歳のアルシンは、周囲から少し距離を置きながら、植物を観察し記録することに日々の時間を費やしている。彼にとって植物は単なる自然ではなく、失踪した叔父から教わった世界観そのものだった。
ある日、漢民族の少女メイユーが村へやって来る。明るく自由な彼女の存在は、アルシンの静かな日常に変化をもたらす。二人は草原を歩き、植物を探し、言葉にならない緩やかで暖かな時間を過ごす。やがて彼らの関係は友情から、初恋とも呼べる微妙な距離へと移り変わっていく。
しかし、外の世界は確実に彼らの近づいていた。都市からの影響、近代化の気配、そしてメイユーの上海への転校。別れの予感が現実となったとき、アルシンは再び孤独と向き合うことになる。
詩を語る馬、根を離れて歩き出す木、祖先の記憶を宿すかのような植物 ― 現実と幻想が静かに交錯する中で、アルシンは自分が何を探しているのかを少しずつ知り始める。それは失われた誰かではなく、時間そのものなのかもしれない。

『ボタニスト 植物を愛する少年』(2025年/中国映画/カザフ語・中国語/96分/4:3/5.1ch)
監督・脚本:ジン・イー
出演:イェスル・ジャセレフ、レン・ズーハン、ジャレン・ヌルダオレット、サルヘト・エラマザン、ソンハト・ジョマジャン
配給・宣伝:リアリーライクフィルムズ