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白い牛のバラッド Ballad of a White Cow

上映中~3月31日(木)

日時

上映中~3月31日(木)

料金

一般¥1,900/シニア(60歳以上)¥1,200/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳) ¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/障がい者割引¥1,000/UPLINK会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINKユース会員(22歳以下)いつでも¥1,000
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2021年ベルリン国際映画祭 金熊賞&観客賞ノミネート

罪と償いの果てに彼女が下した決断が心を揺さぶる—
気鋭の女性監督が放つ衝撃の冤罪サスペンス

自国では上映中止——
イランからアスガー・ファルハディに続く新たな才能が誕生

カンヌ国際映画祭の常連監督であるアスガー・ファルハディらを輩出し、世界的に注目を集める中東のイランから衝撃的な映画が届けられた。第71回ベルリン国際映画祭金熊賞&観客賞にノミネートされた本作は、これが2度目のタッグ作となるベタシュ・サナイハ、マリヤム・モガッダムの共同監督作品である。主人公のミナは、愛する夫を1年前に冤罪で処刑されてしまった女性。女優として長いキャリアを持つモガッダムは主演を兼任し、女性差別的な法律や風習が残るイランの現状を描出。未亡人でシングルマザーでもあるミナの苦闘を通して、“女性の生きづらさ”という普遍的な共感を呼び起こすテーマを追求した。
しかも本作は、多くの観客が予想するような再生や癒やしのドラマではない。日本と同じく死刑制度が存在するイラン社会の不条理に切り込んだモガッダム監督は、あらゆる観客の心を激しく揺さぶり、ショッキングな結末が待ち受ける冤罪サスペンスを完成させた。すでに国際的な評価を確立したアスガー・ファルハディ、『悪は存在せず』で第70回ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞したモハマド・ラスロフに続く、新たな才能の誕生を告げる一作である。

死刑執行件数世界2位の国イランの理不尽な現実
日本人にとっても他人事ではない冤罪という悲劇

緻密なフレーミングとカメラワーク、繊細な音響効果が際立つ映像世界には、観客の想像力をかき立てるメタファーも盛り込まれている。冒頭シーンなどにちりばめられた“刑務所の中庭にぽつんと立つ白い牛”のシュールなイメージは、“死を宣告された無実の者”の隠喩である。本作の最も重要な場面で、ミルクをキーアイテムとして用いた描写も鮮烈な印象を残す。
また、アムネスティ・インターナショナルの報告書「死刑判決と死刑執行2020」によると、イランは中国に次いで死刑執行件数が世界2位の国である。イランにおける映画制作には検閲という厄介な問題がつきまとうが、近年は死刑制度を扱った映画が相次いで作られており、おどろおどろしい絞首刑シーンを映像化したサイード・ルスタイ監督の犯罪スリラー『ジャスト6.5 闘いの証』、死刑制度にまつわる4つのエピソードで構成されたM・ラスロフ監督の『悪は存在せず』が大きな反響を呼んだ。この物議を醸すチャレンジングな題材に取り組み、破格の衝撃性がみなぎる冤罪サスペンスに結実させた本作は、日本人にとって決して遠い国の出来事ではない。死刑制度の是非や冤罪という重いテーマについて、改めて思考するきっかけになるだろう。

※自国ではイラン政府の検閲より正式な上映許可が下りず、3回しか上映されていない。

【STORY】

愛する人を冤罪で亡くした女の前に、その男はなぜ現れたのか

テヘランの牛乳工場で働きながら耳の聞こえない幼い娘ビタを育てるミナは、1年前に夫のババクを殺人罪で死刑に処せられたシングルマザー。今なお喪失感に囚われている彼女は、裁判所から信じがたい事実を告げられる。ババクが告訴された殺人事件を再精査した結果、別の人物が真犯人だったというのだ。賠償金が支払われると聞いても納得できないミナは、担当判事アミニへの謝罪を求めるが門前払いされてしまう。理不尽な現実にあえぐミナに救いの手を差し伸べたのは、夫の旧友と称する中年男性レザだった。やがてミナとビタ、レザの3人は家族のように親密な関係を育んでいくが、レザはある重大な秘密を抱えていた。やがてその罪深き真実を知ったとき、ミナが最後に下した決断とは……。

『白い牛のバラッド』(2020年/イラン・フランス/ペルシア語/105分/1.85ビスタ/カラー/5.1ch/英題:Ballad of a White Cow)
監督:ベタシュ・サナイハ、マリヤム・モガッダム
出演:マリヤム・モガッダム、アリレザ・サニファル、プーリア・ラヒミサム
日本語字幕:齋藤敦子
配給:ロングライド