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ルイス・ブニュエル監督特集上映 デジタルリマスター版 男と女 

上映中~5月5日(木)

© 1974 STUDIOCANAL FILMS Ltd

日時

上映中~5月5日(木)

料金

【特別料金】一般¥1,500/シニア¥1,200/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳)¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/UPLINK会員¥1,100/UPLINKユース会員(22歳以下)¥1,000
▶オンライン販売一部再開のお知らせ

詳細 DETAIL

20世紀を代表するルイス・ブニュエル監督の傑作六作品

ジャンヌ・モローのブーツをかき抱いて恍惚死する老人。
昼下がりのエロチックな秘密クラブ。鞭で打つのはまだ早いと怒る変態男。
ゆれる釣鐘の生首。一瞬、カトリーヌ・ドヌーヴの乳首がかゆい。義足と松葉杖と車椅子。
招かれざる客たちの破茶滅茶な饗宴。
飢えて、歩いて、果てしなく。
革命か、テロか?食欲も性欲も永遠に中断される。
ああ、すべては夢かと目覚めたら、それが夢のはじまりだったという、映画そのものが夢うつつの構造になっているかのようだ。
老婆はいかにして若き美女に変身するか。
食事はトイレで……貞操帯は美女のベッドで…… 官能か、本能か。
自由奔放?「自由など幻想にすぎぬ」と映画のなかの人物がせせら笑う。
な、な、な、なんだ、これは。この条理と不条理、この不思議な連続と不連続。
愛だ、狂気だ、美だ、笑いだ、映画だ、ブニュエルだ。

山田宏一

【上映日程】

4月15日(金) 『小間使の日記』
4月16日(土) 『昼顔』
4月17日(日) 『哀しみのトリスターナ』
4月18日(月) 『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』
4月19日(火) 『自由の幻想』
4月20日(水) 『欲望のあいまいな対象』
4月21日(木) 『昼顔』
4月22日(金) 『哀しみのトリスターナ』
4月23日(土) 『小間使の日記』
4月24日(日) 『昼顔』
4月25日(月) 『欲望のあいまいな対象』
4月26日(火) 『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』
4月27日(水) 『自由の幻想』
4月28日(木) 『昼顔』
4月29日(金) 『小間使の日記』
4月30日(土) 『昼顔』
5月1日(日) 『哀しみのトリスターナ』
5月2日(月) 『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』
5月3日(火) 『自由の幻想』
5月4日(水) 『欲望のあいまいな対象』
5月5日(木) 『昼顔』

【上映作品】

『小間使の日記』 LE JOURNAL D’UNE FEMME DE CHAMBRE
(1964年/日本公開:1966年/仏伊合作/モノクローム/スコープサイズ/モノラル/97分)

© 1964 STUDIOCANAL FILMS Ltd

晩年のブニュエル映画に欠かせない脚本家ジャン゠クロード・カリエールが、初めて参加した作品。
右派と左派の対立が激化した30年代半ばのフランス。一風変わったモンテイユ家の田舎屋敷に、パリからやって来た魅力的な女セレスティーヌが小間使いとして雇われる……超現実的な要素を抑えた、ブニュエル作品中最もリアリスティックな作品の一つ。そのせいか、ブルジョワ風刺と社会批評もいつも以上にその辛辣度を増している。腐敗を隠し持った名誉あるブルジョワ一家の使用人たちは、彼らが仕える富裕だが活力を欠いた雇い主よりも権威主義的かつ搾取的だ。本作はモンテイユ家をフランス社会の縮図に見立てつつ、「ファシズムの勃興/邪悪なものの勝利」に暗に警鐘を鳴らす。

監督:ルイス・ブニュエル
脚本:ルイス・ブニュエル、ジャン=クロード・カリエール
原作:オクターヴ・ミルボー
撮影:ロジェ・フェル―
製作:セルジュ・シルベルマン、ミシェル・サフラ
出演:ジャンヌ・モロー、ミシェル・ピコリ、ジョルジュ・ジェレ、フランソワーズ・リュガーニュ、ダニエル・イヴェルネル


『昼顔』4Kデジタルリマスター版 BELLE DE JOUR
(1967年/日本公開:1967年/仏伊合作/本編100分/カラー/ビスタサイズ(1.66×1)/モノラル)

© 1967 STUDIOCANAL IMAGE. All Rights reserved.

※当館では2K上映となります

ヒッチコックが賞賛したことでも知られる、後期ブニュエル作品のなかで最も有名な一本。
貞淑な若妻セヴリーヌは、日々密かにみだらな性的夢想に耽っていた。やがて彼女は、夫に隠れて高級売春婦として働き始める……ケッセルの同名小説を換骨奪胎し、人妻の妄想と現実の境界線をどこまでも曖昧にしてみせた、これ自体がひとつの迷宮のような映画。ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞しただけでなく、興行的に最も成功したブニュエル作品ともなった。イヴ・サン゠ローランがデザインしたドヌーヴの衣装の数々も、見どころの一つ。この映画を霊感源としたマノエル・デ・オリヴェイラ監督による後日譚『夜顔』(06)も製作された。

監督:ルイス・ブニュエル
脚本:ルイス・ブニュエル、ジャン=クロード・カリエール
原作:ジョセフ・ケッセル
撮影:サッシャ・ヴィエルニー
製作:ロベール&レイモン・アキム
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジャン・ソレル、ジュヌヴィエ―ヴ・バージュ、ミシェル・ピコリ、 フランソワーズ・ファビアン、マーシャ・メリル、ピエール・クレマンティ


『哀しみのトリスターナ』 TRISTANA
(1970年/日本公開:1971年/西仏伊合作/カラー/ビスタサイズ(1.66×1)/モノラル/99分)

© 1970 STUDIOCANAL. ALL RIGHTS RESERVED.

かつての『ビリディアナ』とも重なる、老いた男と若い娘の関係を通じてスペイン社会を風刺する悲劇。
孤児トリスターナを下級貴族ドン・ロペが引き取り、やがてこの娘を愛人にする。その後トリスターナは若い画家と駆け落ちするが、病のために片脚を切断することになり……ブニュエルにとっては『ビリディアナ』(61)以来、久々に(そして最後に)全編故国スペインで撮影されたスペイン語映画。そして、メキシコ時代の1952年に構想して以来、実現までに20年近くの歳月を要した作品である。『昼顔』に続いてヒロインを演じたドヌーヴは、本作をお気に入りの主演作の一本に挙げている。ブニュエルによれば、ヒッチコックは本作のトリスターナの義足に心底魅了されていたという。

監督:ルイス・ブニュエル
脚本:ルイス・ブニュエル、フリオ・アレハンドロ
撮影:ホセ・アグアイヨ
音楽:クロード・デュラン
製作:ルイス・ブニュエル、ロベール・ドルフマン
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、フランコ・ネロ、フェルナンド・レイ、ロラ・ガオス、アントニオ・カサス


『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』 LE CHARME DISCRET DE LA BOURGEOISIE
(1972年/日本公開:1974年/仏伊西合作/カラー/ビスタサイズ(1.66×1)/モノラル/102分)


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アカデミー賞最優秀外国語映画賞を受賞した、愉快で不気味な不条理諷刺喜劇。
食事にありつこうとしてはその都度失敗する、六人のブルジョワが主人公。本作が描き出す世界は論理を欠いており、登場人物は現実にはあり得ない突飛なできごとの数々を自然に受け入れる。ブルジョワたちは美味しい食事を期待しては、毎回奇妙な理由によってその期待を挫かれ、欲求不満状態に陥っていらだちつつも、食欲あるいは性欲を満足させようとじたばたすることをやめない。そうした滑稽な姿が描かれる過程で、彼らの特権的地位とそれに由来する高慢さや偽善や腐敗がそれとなく暴露されてゆく……超現実的展開と毒の効いた諷刺がユーモラスで軽やかな語り口と結びついた新境地!

監督:ルイス・ブニュエル
原案・脚本:ルイス・ブニュエル、ジャン=クロード・カリエール
撮影:エドモン・リシャール
製作:セルジュ・シルベルマン
出演:フェルナンド・レイ、デルフィーヌ・セイリグ、ステファーヌ・オードラン、ジャン=ピエール・カッセル、 ポール・フランクール、ミシェル・ピコリ、ビュル・オジエ


『自由の幻想』 LE FANTOME DE LA LIBERTE
(1974年/日本公開:1977年/仏伊合作/カラー/ビスタサイズ(1.66×1)/モノラル/104分)

© 1974 STUDIOCANAL FILMS Ltd

「この映画の題名は、カール・マルクスとわたしが共同で作ったものだ」(ブニュエル)
一見したところ、互いに関係のない、しかもそれぞれ完結することのない挿話の数々が、さまざまな偶然を介してごく緩やかに連結されてゆく、超現実的な遊戯を思わせる独自の語り口を採用した、過激な「反物語映画」。それまでのブニュエル映画が部分的に実践してきたこと、つまり映画自体を「夢」に近づけることが、『黄金時代』以来久しぶりに作品全体に拡大されたかのような趣が備わっているのが本作である。描かれるできごとの多くは、エロティックで倒錯臭の強い、典型的ブニュエル世界。奇怪な夢を見た後、人はその夢になんらかの意味を見いだそうと必死になるが、それは無駄な努力に終わる!

監督:ルイス・ブニュエル
脚本:ルイス・ブニュエル、ジャン=クロード・カリエール
撮影:エドモン・リシャール 製作:セルジュ・シルベルマン
出演:ジャン=クロード・ブリアリ、モニカ・ヴィッティ、ミシェル・ピコリ、ジャン・ロシュフォール、パスカル・オードレ


『欲望のあいまいな対象』 CET OBSCUR OBJET DU DESIR
(1977年/日本公開:1984年/フランス映画/カラー/ビスタサイズ(1.66×1)/モノラル/103分)

© 1977 STUDIOCANAL FILMS Ltd

ブニュエルの死後にますますその評価を高めた、とことん人を喰った遺作。
二人の女優(フランス人キャロル・ブーケと、スペイン人アンヘラ・モリーナ)に同一人物(ヒロインのコンチータ役)を演じさせた珍奇な試みで名高いブニュエルの遺作。フランス人作家ピエール・ルイスの小説『女と人形』を自由に翻案した本作は、『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』のブルジョワたちが食事のお預けを食らい続けたように、愛する女コンチータの肉体のお預けを食らい続ける中年男の物語を綴ってゆく。優雅で控えめで痩せ型のブーケと、陽気で情熱的で肉感的なモリーナが同一人物を演じ分けることで、コンチータという女に備わったあいまいさや二面性が明確に打ち出されることになった。

監督:ルイス・ブニュエル
脚本:ルイス・ブニュエル、ジャン=クロード・カリエール
原作:ピエール・ルイス
撮影:エドモン・リシャール
製作:セルジュ・シルベルマン
出演:フェルナンド・レイ、キャロル・ブーケ、アンヘラ・モリーナ、ジュリアン・ベルト―、アンドレ・ウェバー


ルイス・ブニュエル Luis Buñuel

1900年2月22日、スペインのテルエル県カランダに生まれる。マドリード大学時代の学寮生活で画家サルヴァドール・ダリや詩人フェデリコ・ガルシア・ロルカら若き芸術家と出会う。25年、パリに移住。映画監督を志し、パリの演劇学校に入学。29年、ダリとの脚本共作で16分の短編映画『アンダルシアの犬』を監督。続いて初の長編映画『黄金時代』(30)を発表。カトリック主義者や極右の激しい攻撃にさらされ、前作以上の醜聞を惹き起こした結果上映禁止に。貧困地域ラス・ウルデスの住民の状況を描いた次作『糧なき土地』(33)も、スペイン政府により上映禁止処分を受ける。スペイン内戦勃発後はフランス、アメリカ合衆国での親共和国派的プロパガンダ映画製作に協力した後、46年に映画製作者オスカル・ダンシヘールの誘いでメキシコに渡る。ダンシヘール製作の『忘れられた人々』(50)で、一躍世界的に有名なスペイン語圏監督となった。残りの生涯はメキシコで暮らし、この地で20本の映画を監督する。メキシコ映画産業の黄金時代が終わった後は、主にフランスで映画作りに従事。83年7月29日、メキシコ市の病院にて死去。最後の作品は『欲望のあいまいな対象』(77)。

「ルイス・ブニュエル監督特集上映 デジタルリマスター版 男と女」
提供:KADOKAWA
配給:マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム
宣伝:VALERIA