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ホテルアイリス 艾莉絲旅館/Hotel Iris

4月29日(金)~5月5日(木)上映

日時

4月29日(金)~5月5日(木)上映

料金

一般¥1,900/シニア(60歳以上)¥1,200/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳)¥1,000/ジュニア(15歳)¥800/障がい者割引¥1,000/UPLINK会員¥1,100(土日祝¥1,300)/UPLINKユース会員(22歳以下)いつでも¥1,000
▶オンライン販売一部再開のお知らせ

詳細 DETAIL

舞台挨拶決定!

4月29日(金)20:05の回上映後
登壇者:奥原浩志監督


かがみのなか わたしとあなた あいのはて

小川洋子禁断の小説を、
気鋭の映画作家が圧倒的な映像美で遂に映画化!

名も知らぬ、どこか涯ての島に在る、小さな海沿いのホテル。謎めいた中年男と心に闇を抱えた若い娘。出会ってはならない2人は、いつしか愛と死の香りに満ちた濃密な時間の淵に堕ちていく…
ロッテルダムや釜山などの国際映画祭で受賞歴のある『黒四角』の奥原浩志監督最新作。小川洋子が禁断のエロスを描写した同名小説を、舞台を台湾の架空の島に変え大胆に映画化。センシャルな2人の世界を演じきった永瀬正敏、台湾の新人女優・陸夏(ルシア)に加え、菜葉菜、寛一郎、リー・カンションら日台の国際的な俳優たちによる演技のアンサンブルは必見だ。

誰がどうして、“ホテル・アイリス”などという妙な名前をつけたのか、私はいつも不思議に思う。このあたりのホテルにはみな、海にちなんだ名前が付けられている。
なのにここだけがアイリスだ。
(原作より)

【STORY】

寂れた海沿いのリゾート地─そこで日本人の母親が経営するホテル・アイリスを手伝っているマリは、ある日階上で響き渡る女の悲鳴を聞く。赤いキャミソールのその女は、男の罵声と暴力から逃れようと取り乱している。マリは茫然自失で、ただならぬその状況を静観している。一方で、男の振る舞いに激しく惹かれているもう一人の自分がいて、無意識の中の何かが覚醒していくことにも気づき始めていた。

男は、ロシア文学の翻訳家で、小舟で少し渡った孤島で独りで暮らしているという。住人たちは、彼が過去に起きた殺人事件の真犯人ではないかと、まことしやかに噂した。またマリも、台湾人の父親が不慮の事故死を遂げた過去を持ち、そのオブセッションから立ち直れずにいた。

男とマリの奇妙な巡り合わせは、二人の人生を大きく揺さぶり始める。

Director’s Statement

それは小川さんの創った主人公たちを疑うことから始まった。

小川洋子さんの小説『ホテル・アイリス』はとても簡素な言葉で書かれていますが、読めば読むほど謎が深まっていく恐ろしい小説です。容易に得られるものは何もありません。教訓やら共感やら感動やらといったもののことです。何度か読んでいるとすべてが疑わしく思えてきます。最初に「翻訳家」という男を疑いました。翻訳中の小説についてマリに語ったりしていますが、本当に翻訳などしているのでしょうか。死んだ妻の話、甥の話、疑いだすとキリがありません。そのうち男の存在自体を疑いはじめました。小川さん自身、さまざまなところで述べられているように、小川さんの小説には『アンネの日記』からの影響が強く感じとれます。もしかするとこの男はマリの想像の産物なのではないか。マリは自分の想像力で囲いを越えようとしているのではないか。これはなかなか有力そうな説に思えました。しかし、そうすると今度はマリの存在を疑ってみたくなります。本当のマリは別な世界にいて、この物語全体が彼女の想像なのではないか。あるいは存在するのは翻訳家で、マリは物語を通して具現化した翻訳家自身の分身なのではないか。そんな読み方もできなくはありません。小説には出てきませんが、「鏡の中の鏡」というモチーフはそんなふうにして導きだされたものです。あと、マリがマリーに宛てて書く手紙形式の日記も小説には出てきません。勝手なつけ足しをしてしまって小川さんと小川さんの小説の読者の皆様に対しては申し訳ない気持ちもありますが、そんな経緯があってのこととご理解いただければ嬉しいです。ともかく映画化にあたり、異論もあるでしょうが、極力原作が持つ魅力を損なわないように努めたつもりです。準備から完成まで4年近くかかってしまいましたが、とうとう公開までこぎつけました。『ホテルアイリス』が1人でも多くの観客に届くようご協力いただければ幸いです。どうもありがとうございました。

奥原 浩志

『ホテルアイリス』(2021年/100分/R15+/日本・台湾合作/原題:艾莉絲旅館/英題:Hotel Iris)
監督:奥原浩志
出演:永瀬正敏、陸夏、菜葉菜、寛一郎、マー・ジーシャン、パオ・ジョンファン、大島葉子、リー・カンション
原作:小川洋子
脚本:奥原浩志
配給:リアリーライクフィルムズ、長谷工作室