たった一人に語りかけるように、切実で美しい言葉を手向けるAV女優・文筆家の戸田真琴。2019年、「戸田真琴実験映画集プロジェクト」と称して、自らの人生における大きな喪失のようなものをベースに、言葉と映像で語り直すことを試みた。「自分の生きてきた世界のこと、ずっと興味がなくて見たことがなかった。(でも、)自分の生きてきた史実を愛している」。生まれたのは自伝的な3本の短編。植物園で互いの宿命を解析し合う少女たちの物語「アリアとマリア」、キャンピングカーで旅に出る男女の刹那の交流を描いた「Blue Through」、監督自身の送った手紙をもとに大森靖子氏が書き下ろした楽曲を使用した喪失と祈りを描く賛美歌「M」。戸田は全作品の脚本を執筆・初監督をつとめる。1年間の自主配給による上映が話題を呼び、『永遠が通り過ぎていく』が待望の映画館での上映決定。詩的で私的な短編集は、認められない自分も照らす“賛歌”となって、きっとあなたの世界に降り注ぐ——。
#1「アリアとマリア」
植物園で互いの宿命を解析し合う少女たちの物語。
#2「Blue Through」
キャンピングカーで旅に出る男女の刹那の交流を描いた物語。
#3「M」
監督自身の送った手紙をもとに大森靖子氏が書き下ろした楽曲を使用した喪失と祈りを描く讃美歌。
映画にならないと君に見せられなかった透き通った言葉。アタマおかしいふりの方がもはや生きやすくたって、生真面目に言葉をフィルムに焼いて、終わりの一コマまで探した。私の体内を流れる映画ってなんだろう?——映画も音楽もなくたって美しい人生に、君の眼差しが花を手向けるまでの物語を。
『永遠が通り過ぎていく』(2022年/日本/カラー/60分)
監督・脚本・編集:戸田真琴
出演:中尾有伽、竹内ももこ、西野凪沙、白戸達也、國武綾、五味未知子、イトウハルヒ
劇中歌:大森靖子
音楽:AMIKO、GOMESS
配給:para